北アメリカ大陸の末期更新世の人類とナマケモノの足跡の解釈

 北アメリカ大陸の末期更新世の人類とナマケモノの足跡に関する研究(Bustos et al., 2018)が報道されました。本論文は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のホワイトサンズ国定記念物(White Sands National Monument)で発見された末期更新世の人類と大型地上性ナマケモノの足跡を検証しています。この足跡の年代には曖昧なところがありますが、堆積物の放射性炭素年代測定法から、非較正で15560~10000年前頃と推定されています。アメリカ大陸に存在した人類は現生人類(Homo sapiens)のみだった、というのが有力説です。

 注目されるのは、ナマケモノの足跡が、他に足跡のない場合には直線的かわずかに湾曲しているだけなのに、人類の足跡が近くにある場合は、鋭く回転するか後肢で立ち上がったことが示唆されることです。本論文は、人類の足跡が近くにある場合のナマケモノの足跡は防御行動を表しているのではないか、と解釈しています。一方、人類の足跡は間隔が80~100cmで、通常の間隔の60cmより長くなっています。これらの足跡は、人類がナマケモノを狩猟対象として追跡し、ナマケモノが人類から逃れようとした痕跡ではないか、本論文は解釈しています。

 つまり、ホワイトサンズ国定記念物で発見された末期更新世の人類と大型地上性ナマケモノの足跡は、捕食者と獲物の関係を示す貴重な証拠ではないか、というわけです。この大型地上性ナマケモノもそうですが、アメリカ大陸では末期更新世に多くの大型動物が絶滅し、陸生哺乳類の平均体重が劇的に低下したと推測されていおり(関連記事)、本論文は、その様相の一端の具体的証拠になるかもしれない、という点で注目されます。ただ、この人類とナマケモノの足跡について、単に人類がナマケモノと同じ方向に歩いただけかもしれない、との慎重な指摘もあります。


参考文献:
Bustos D. et al.(2018): Footprints preserve terminal Pleistocene hunt? Human-sloth interactions in North America. Science Advances, 4, 4, eaar7621.
http://dx.doi.org/10.1126/sciadv.aar7621

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