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zoom RSS 日本列島における土器利用の変遷

<<   作成日時 : 2018/07/17 18:28   >>

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 日本列島における土器利用の変遷に関する研究(Lucquin et al., 2018)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。土器の製作は後期更新世に始まり、完新世の温暖化に伴い、より広範な地域で製作が始まり、製作数も増加していきました。これは、温暖化に伴い食資源の対象となる陸生植物・動物の範囲が広がり、土器での処理が要求されるようになったからだ、と考えられてきました。しかし、この仮説は直接的には検証されていませんでした。

 本論文は、後期更新世〜完新世にかけての約1万年にわたる、日本列島の広範な地域の土器800個以上の有機残留物を分析し、土器がどのような食資源に用いられたのか、検証しました。日本列島は土器製作の始まりのかなり早い地域です。検証の結果、予想に反して、更新世でも完新世でも、土器はおもに水産資源の処理に用いられた、と明らかになりました。これは、生態系に関わらず、広範な地域で同様の傾向が見られました。南方地域では、完新世になって気候が温暖化していくと森林が拡大し、土器で処理する割合としては、新たに採集・狩猟の対象になった陸生植物・動物が増えたのではないか、と予想されていたのですが、南方地域でも他地域と同様に、更新世でも完新世でも土器の利用は水産資源の処理が主流でした。

 もちろん、更新世〜完新世にかけて、土器にも変化は見られました。まず、土器生産量が増え、形状とサイズはより多様になりました。しかし、それは土器使用における陸生食資源への依存度の高まりには向かいませんでした。更新世〜完新世にかけての土器の変化は、釣りの増加・貝採集の始まり・定住化といった動向と対応しているのではないか、と本論文は推測しています。たいへん興味深い分析結果ですが、他地域ではどうだったのか、今後の研究の進展が期待されます。おそらく、地域によりかなりの違いがあり、それは現生人類(Homo sapiens)の柔軟さを反映しているのではないか、と思います。もっとも、行動の柔軟さは現生人類だけではなく、現生人類との違いはあったかもしれないとしても、ホモ属の他系統においても広く見られるものだろう、とも考えていますが。


参考文献:
Lucquin A. et al.(2018): The impact of environmental change on the use of early pottery by East Asian hunter-gatherers. PNAS, 115, 31, 7931–7936.
https://doi.org/10.1073/pnas.1803782115

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