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zoom RSS 段階的に発達してきた植物の根

<<   作成日時 : 2018/09/13 17:41   >>

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 植物の根の進化に関する研究(Hetherington, and Dolan., 2018)が公表されました。根は維管束植物の体を構成する3つの器官系の1つで、体の固着・共生・栄養や水の吸収において役割を担っています。しかし、化石記録は断片的なものしかないため、根の起源は定かではなく、現生植物の根を定義づける唯一の特徴である、分裂組織(根端部が根冠に覆われた自己複製構造体)と呼ばれる自己複製構造の存在がいつ進化したのか、特定は困難です。

 本論文は、スコットランドにある、現時点では最古の陸上生態系である約4億700万年前の堆積層ライニーチャートを調査しました。ライニーチャートには現在知られている最古の陸域生態系の化石が含まれており、その保存状態はきわめて良好です。このライニーチャートからは、植物・地衣類・さまざまな節足動物の化石が見つかっています。本論文は、ライニーチャートにおいて最古となる発根軸(rooting axis)の分裂組織を複数発見した、と報告しています。これらの分裂組織は小葉類のヒカゲノカズラ網の植物(Asteroxylon mackiei)のもので、根冠を欠くものの、代わりに分裂組織の表面を覆う連続的な表皮が発達していました。

 現生ヒカゲノカズラ網を代表する植物としては、ヒカゲノカズラや、他の真葉植物より早く分岐した系統である、維管束植物(体内で水や栄養を移動させる組織を有する植物)があります。A. mackieiの発根軸および分裂組織は、根毛も根冠もなく、表面組織の連続層で覆われており、維管束植物の中でも特殊と明らかになりました。これは、現生の維管束植物では根冠の存在により定義される根が、維管束植物系統においてより遅くに現れた新機軸だった、との仮説を支持しています。

 したがって、根は段階的な様式で獲得された形質と考えられます。小葉類における根冠を有する根の比較的遅い起源は、根が単一の起源を持つのではなく複数回にわたって進化を遂げたとする仮説と一致し、小葉類の根と真葉類の根の間に見られる広範な類似性は、収斂進化の例と言えます。移行的な発根器官を有するA. mackieiの系統発生学的な位置は、根を持たない初期に分岐した陸上植物と発達した根を持つ派生的な植物との間にあり、この重要な位置づけは、植物の進化の過程で根がどのように「組み立てられた」のか、明らかにしています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】現代の植物の根の特徴は段階的に発達してきた

 現在のような植物の根になるまでに少なくとも2度の進化が起こっており、根の特徴的性質は徐々に発達してきたことを報告する論文が、今週掲載される。この結論は、現在知られている最古の陸域生態系で発見された移行期の根の化石から導き出された。

 現生植物の根を定義付ける特徴は、分裂組織(根端部が根冠に覆われた自己複製構造体)であることだが、断片的な化石記録から根の分裂組織を見つけ出すのは難しく、根の進化的起源を解明することが難題になっている。

 今回、Sandy HetheringtonとLiam Dolanは、アバディーンシャー(英国スコットランド)にある4億700万年前の堆積層ライニーチャートを調べた。ライニーチャートには、現在知られている最古の陸域生態系の化石が含まれており、その保存状態は極めて良好だ。このライニーチャートからは、植物、地衣類、およびさまざまな節足動物の化石が見つかっている。著者たちは、ライニーチャートで出土した化石試料を顕微鏡で観察し、ヒカゲノカズラ網の植物Asteroxylon mackieiの根の分裂組織を発見した。現生するヒカゲノカズラ網を代表する植物としては、ヒカゲノカズラや、他の高等植物(真葉植物)より早く分岐した系統である維管束植物(体内で水や栄養を移動させる組織を有する植物)がある。

 著者たちは、A. mackieiの分裂組織には根毛も根冠もなく、表面組織の連続層で覆われていることを明らかにしている。A. mackieiの根のこうした構造は、維管束植物の中でも独特なものだ。著者たちは、A. mackieiの根が、現代の維管束植物の根に至る移行期のものと結論付け、この根冠のない移行期の構造がヒカゲノカズラ網植物で既に出現していたことを理由として、ヒカゲノカズラ網植物と真葉植物において、根冠のある根が、根を持たない共通祖先からそれぞれ独自に進化したとする学説を支持している。



参考文献:
Hetherington AJ, and Dolan L.(2018): Stepwise and independent origins of roots among land plants. Nature, 561, 7722, 235–238.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0445-z

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