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zoom RSS 出穂雅実「北東アジアにおける現生人類の居住年代と行動の特徴に関する研究(2017年度)」

<<   作成日時 : 2018/11/13 17:24   >>

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 本論文は、文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)2016-2020年度「パレオアジア文化史学」(領域番号1802)計画研究A02「ホモ・サピエンスのアジア定着期における行動様式の解明」の2017年度研究報告書(PaleoAsia Project Series 11)に所収されています。公式サイトにて本論文をPDFファイルで読めます(P6-11)。この他にも興味深そうな報告があるので、今後読んでいくつもりです。

 北東アジア地域の上部旧石器時代初期石器群はルヴァロワ技法の要素を伴う石刃技術によるプライマリ・リダクションによって定義され、年代は5万〜4万年前頃です。広範な地域で石器リダクションの基本的な特徴が一致するものの、各地域の石器群の具体的な特徴と相異がどの程度あるのかについては、不明なことが多いと指摘されています。また、広範な地域で同様の石器群が展開した後、どのように独特な上部旧石器時代前期石器群が各地で生じていったのか、またその理由についてもよく分かっていません。北東アジアの大半の上部旧石器時代初期・上部旧石器時代前期遺跡群は、緩斜面のシートウォッシュ堆積物や洞窟充填堆積物に埋没し、長年にわたる多種多様な埋没後擾乱を被っているので、地質編年と遺跡内行動の復元が困難です。モンゴルの上部旧石器時代初期遺跡群にも同様の問題があるので、信頼できる地質編年と遺跡コンテクストの提示が重要と指摘されています。

 本論文が具体的に取り上げている遺跡は、まずトルボル17遺跡です。同遺跡はトルボル川流域のトルボル遺跡群の一つで、トルボル川の河谷西岸の自然草原に立地しています。トルボル17遺跡では、地表面で複数の掻器・削器・錐形石器などが採集されています。トルボル17遺跡はモンゴルの厳冬期の北風を防ぐ山麓に位置し、現在の牧民の選地にも重要とされています。また、緩斜面の先端部ではなく中央部西側に、堆積物がより安定して堆積しているという可能性を確認できたことから、これまであまり確認されてこなかった、上部旧石器時代初期・上部旧石器時代前期の冬期レジデンシャル・ベースだった可能性が指摘されています。トルボル17遺跡では複数の遺物産出層準が確認されており、多数のダチョウ卵殻製ビーズと錐形石器が出土したことは、「現代的行動」の拡散の観点から注目されます。

 タルバガタインアム遺跡は、モンゴル・ロシア国境を流れるセレンゲ川水系ツフ川(ロシア側名称はチコイ川)の一支流である、フデル川西岸の小河谷(タルバガタイ川)南岸の緩斜面上に立地しており、現在はオートミール畑地となっています。上部旧石器時代初期もしくは前期的特徴を有する石刃素材のサイドスクレーパーが地表で採集されています。また、試掘坑からはウシ科の骨が発見されています。2017年度の調査では、珪質凝灰岩製のデボルダント石刃削器や石刃削器などが発見され、石器の特徴からこれまでの遺跡の推定年代と矛盾しない、と考えられています。タルバガタインアム遺跡の動物遺骸の多くは小破片となっており、人為的と推測される痕跡が確認されているので、おそらくは現生人類(Homo sapiens)が解体して食べていたのではないか、と考えられます。


参考文献:
出穂雅実(2018)「北東アジアにおける現生人類の居住年代と行動の特徴に関する研究(2017年度)」『パレオアジア文化史学:ホモ・サピエンスのアジア定着期における行動様式の解明2017年度研究報告書(PaleoAsia Project Series 11)』P6-11

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