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zoom RSS 『卑弥呼』第6話「トンカラリン」

<<   作成日時 : 2018/11/20 19:08   >>

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 『ビッグコミックオリジナル』2018年12月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)の国にある「日の巫女」集団の学舎である種智院において、ヤノハがモモソを楼観から投げ落とし、殺害したところで終了しました。今回は、ヤノハが楼観の上からモモソの死体を見下ろし、黄泉の国で吾を恨むなよ、と語りかける場面から始まります。ヤノハは楼観から降りますが、それを戦部(イクサベ)のヌカデが見ていました。翌朝、清掃をしていた女性がモモソの死体を発見します。その頃、祈祷部(イノリベ)の長であるヒルメが、祈祷女(イノリメ)見習いたちへの講義を担当しているイクメに、夜が明けたら有望な祈祷女見習いを連れて「トンカラリン」に向かうよう、指示します。モモソも連れていくのか、と尋ねるイクメにヒルメは頷き、百年ぶりのトンカラリンでモモソが生き残れば諸国の王も納得するだろう、と言います。将来のある祈祷女見習いを犠牲とすることになおも消極的なイクメに、倭国を太平に導くためにはもはや祈祷女は不要、必要なのは日見子(ヒミコ)のみ、とヒルメは諭します。そこへ、モモソが死んだ、との報告が入ります。

 ヒルメは種智院の各部の見習いたちを集めて、自分の後継者であるモモソが死んだが、不審点が多々あるので、刑部(オサカベ)に調査を命じた、と告げます。刑部を知らないヤノハが隣の女性に尋ねると、法を司る組で、冠位は低いが権限は大きく、真実を得るためなら拷問もお仕置きも許されている、と説明があります。さすがにヤノハも内心では焦っているようで、さらにヒルメが自分に視線を向けていることに気づきます。モモソが死んだ、という非常時でも祈祷女見習いたちの講義が始まろうとしていましたが、普段より人数が少なく、不審に思ったヤノハは隣の女性に尋ねます。女性は、成績上位10名はトンカラリンに行った、と答え、お互い成績下位でよかったな、とヤノハに言います。

 祈祷女見習いたちが、トンカラリンに連れて行かれた者は全員戻って来ない、とくにモモソが死んだ今となっては、と噂していると、ヤノハはメドリおよびハヤアツキと共に呼び出されます。集められた女性たちは戦部だけではなく、昨夜寝所にいないと報告のあった者たちでした。須恵部(スエベ)見習いは、工房に籠って朝まで土をこねていた、と答えます。機織部(ハトリベ)の女性は、布を織っている間に夜中になり、そこで寝ていた、と答えます。ところが次の女性は返答に窮してしまいます。ヒルメは冷静に、柵の外で男と会っていただろう、と指摘し、この女性を戦場に慰安婦として送るよう、命じます。その次に問われたヌカデは冷静に、数日後に戦柱(イクサバシラ)として発つので、徹夜で剣術の稽古をしていた、と答えます。ヒルメは穏やかに、ご苦労です、とヌカデに声をかけます。次に問われた祈祷女見習いのメドリは、寝所にいた、と答えますが、貯蔵倉の干し肉がなぜ消えているのか、と問われて返答に窮します。ヒルメはメドリに、不浄の品を食べた者は祈祷女にはなれない、種智院から去れ、と命じます。

 最後に問い質されたのはヤノハでした。一晩中どこにいたのか、とヒルメに問われたヤノハは、外を歩き、考えごとをしていた、と答えます。するとヒルメは、ヤノハが楼閣の柱を上がっていくところを見ており、別の者はヤノハが楼閣の柱を降りていくのを見た、と指摘します。ヒルメはヤノハがモモソを殺したと確信しており、親しかったモモソをなぜ殺したのだ、とヤノハを問い詰めます。しかしヤノハは、自分がモモソを突き落としたところを見た者がいるのか、と反論し、ヒルメは答えに窮します。するとヌカデが、ヤノハを誘って剣術の稽古に付き合ってもらっていた、と証言します。ヒルメも祈祷部の副長であるウサメもイクメも刑部の者たちも不振に思うなか、証拠もないのでヤノハは解放されます。ヤノハから意図を問われたヌカデは、ヤノハは生き残る術に長けているので、一枚噛ませてもらう、と答えます。ヌカデはヤノハに、自分はお前の代わりに戦場に赴く、せいぜい死ぬよう祈れ、自分は生きて帰れば、お前の人生に覆いかぶさる、と告げます。

 ヌカデと別れた後、ヤノハは建物に入ると、突然後頭部を殴られて気絶します。ヤノハが暗闇の中で目覚めると、手荒な真似をしてすまなかった、側にある松明はすぐに消え、お前は暗闇の中に取り残される、とヒルメは告げます。まだ私を疑っているのか、とヤノハに問われたヒルメは、お前を有望な祈祷女と見込んだのだ、と答えます。ヒルメはヤノハに、ここは「トンカラリン」だ、と教えます。トンカラリンの洞窟には千の未知があり、999の道は黄泉に通じているので、二度と光を見ることなく彷徨って死ぬが、地上、つまり「お暈(ヒガサ)さま」に通じる道はただ一つで、この百年で地上に出たのは日見子(ヒミコ)様ただ一人だ、とヒルメはヤノハに説明します。ヒルメは、人間が通れないような狭い隙間からヤノハに話しかけているのでしょうか。ヒルメがヤノハに、お前は天照大神様の声が聞こえるそうだが、本当ならば天照大神様のお導きで苦もなく洞窟を抜けられるだろう、偽りならば黄泉の国に行きモモソに謝れ、では「お暈さま」の下で待っている、と告げるところで今回は終了です。


 今回、これまで度々挿入されていたヤノハの回想の時点まで進んだ、と考えてよいでしょう。これまで何度か言及されていた「トンカラリン」の儀式とは、迷宮のような洞窟に祈祷女を入れて、無事に脱出できた者を日見子と認定する儀式だと明かされました。ヒルメは、ヤノハを有望な祈祷女と見込んだのだ、と言っていましたが、ヤノハがモモソ殺害犯だと確信しているでしょうし、平気で嘘をつき親しい者を殺すような人物なら死んだ方がよいと考えて、祈祷女としての才能を評価していなくとも、ヤノハにトンカラリンの儀式を課したのだと思います。

 しかし、まず間違いなく主人公のはずのヤノハがここで死ぬような展開にはならないでしょうから、ヤノハは生き延びるでしょう。そうすると、さすがにヒルメも、ヤノハがモモソ殺害犯だと確信していて、ヤノハの祈祷女としての才能を評価していなかったとしても、ヤノハを日見子と認めざるを得ないでしょう。ただ、現時点の舞台である暈の国は、タケルという王と鞠智彦(ククチヒコ)という将軍がいることから、『三国志』に見える狗奴国で、後の熊襲だと思います。そうすると、狗奴国は卑弥呼(日見子)と対立していたと伝わっていますから、ヤノハが日見子と広く認められたとしても、暈の国から追放されるか、逃亡する可能性が高そうです。タケル王は、表向きは日見彦(ヒミヒコ)と認められているものの、実はそうではなく、日見子が出現すればその役割を終えたか偽物だったと人々に思われてしまうことから、新たに出現した(認定された)日見子を殺そうとするのではないか、と懸念されています(第3話)。そうすると、日見子と認定されたヤノハをタケル王が殺そうとして、ヤノハ(と祈祷部の巫女たち?)は他国に脱出するかもしれません。こう考えると、『三国志』の記事とつながってきそうです。

 ただ、回想時点でのヤノハは、生に執着して手段を選ばなかったこれまでとは異なり、死を覚悟しているようです。この心境の変化は、洞窟に置き去りにされた当初からなのか、それとも何度も洞窟からの脱出を試みて失敗してからなのか、気になるところです。後者の方が、これまでのヤノハの言動からして相応しいように思いますが。今回は、ヌカデが今後ヤノハに深く関わってくることを示唆する場面も描かれました。正直なところヌカデは、今回登場したメドリのようなモブキャラ顔ではないとして、準主人公に近いような顔でもなさそうだったので、意外な場面でした。まあ、モモソがあっさりと殺されて退場するくらいですし、ヌカデも生還率の低い戦柱として戦場に赴き、あっさりと戦死するのかもしれませんが。

 そのモモソについては、前回気づきませんでしたが、第1話にて、自分は正式な祈祷女になる前に死ぬ運命だ、自分には未来が見える、と語っており、今にして思うと、これは重要な伏線でした。まさか、モモソが序盤で殺されて退場するとはまったく予想していなかったので、まったく気にしていませんでした。オカルト的ではありますが、作中設定では、モモソには本当に未来が見えていたのかもしれません。それにしても、改めてこれまでを読み返すと、モモソはいかにも主人公・準主人公といった顔立ちで、本当に序盤での退場が惜しまれます。とはいえ、このような魅力的なキャラをあっさりと序盤で殺すとは、今後も思いがけない展開が続くことを予感させ、たいへん楽しみです。告知はとくにありませんでしたが、予告には本作が掲載されていなかったので、たいへん残念ながら次号は休載だと思います。

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