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zoom RSS 日本の潜在的鎖国体質(通算5000本目の記事)

<<   作成日時 : 2018/12/23 15:52   >>

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 東野治之『遣唐使』は、近年(1980年代以降?)盛んな「開かれた日本」論に疑問を呈しています(関連記事)。「開かれていた日本」という発想は、常識化した鎖国史観への批判として有効であり、傾聴すべきではあるものの、それに偏ると、日本の潜在的鎖国体質を無視してしまうことになる、というわけです。私も一時期、「開かれていた日本」という見解にかなり傾倒していましたが、2007年頃に、海の障壁としての性格を重視すべきではないか、と考えが変わってきたので、同書の提言にはかなり賛同できるところがあります。

 確かに、前近代において日本における中国文化の影響は皮層的で、真に根づいたものではなかった、という津田左右吉の主張や(関連記事)、遣唐使中止以降の「日中」交流は低調で、そのために平安時代に「国風文化」が開花した、といった見解には問題があります(関連記事)。津田だけではなく原勝郎も、古代日本における「中国」文化の影響は皮相・局所的で、社会全体の健全な発達には有害だった、と指摘しています(関連記事)。こうした認識は、現代日本社会においても一定以上定着しているのではないか、と思います。その意味で、「開かれていた日本」という発想は重要ではあるものの、偏ってはならない、ということなのでしょう。

 これは、「中国」文化の直接的な受容が本格化した飛鳥時代(それまではおおむね朝鮮半島経由)以降に限らず、縄文時代においても同様だったのではないか、と思います。縄文時代について、かつては日本列島の孤立性が前提とされていましたが、その後、他地域との交流が確認されるようになりました。しかし、そうした風潮のなかで、北部九州と朝鮮半島南部との交流が一時期は過大評価されていたようで、近年では、縄文時代の北部九州と朝鮮半島南部は文化を共有するという状況ではなく、対馬海峡で文化圏を区分できるのではないか、と指摘されています(関連記事)。

 考古学的には、縄文文化の空間的範囲は、現代の日本国の領域と厳密に一致しているわけではないものの、ほぼその範囲に収まりますし、形態学的にも、「縄文人」の形質は、空間的には北海道から九州まで、時代的には早期から晩期前半までほぼ同一で、世界中で類似した古人骨は発見されていないそうですから(関連記事)、縄文時代の日本列島は比較的孤立していた、と考えるのが妥当でしょう。もちろん、古代DNA研究の新進により、今後、縄文時代にユーラシア東部から日本列島へのかなりの程度の移住が確認される可能性もありますが、それは低いだろう、と私は考えています。おそらく「縄文人」は、ユーラシア東部の複数の集団の日本列島への流入により形成されたので、ユーラシア東部に「縄文人」とほぼ同じ遺伝的構成の集団は存在しなかったのではないか、と思います。しかし、今後、ユーラシア東部の古代DNA研究が進展すれば、現代人よりも「縄文人」と遺伝的に近縁な集団が複数確認される可能性は高いと思います。

 歴史観・歴史解釈が時代思潮に強い影響を受けるのは、研究者はもちろんのこと、多くの歴史愛好家にとっても常識と言えるでしょう。交流の場としての海の性格を強調する、現代日本社会における脱一国史観もその例外ではなく、「開かれていた日本」の強調に、開かれた日本であるべきだ、との願望・思い込みが投影されていなかったか、私のような歴史愛好家も常に自覚する必要があるのでしょう。ただ、こうした認識は自覚することがなかなか困難ではありますが。


 これが通算5000本目の記事となります。それぞれの記事の長さに差はあるものの、ブログを開始してから12年半以上、ほぼ毎日よくもこれだけ更新してきたものだと思います。一度更新をしないとそのままずるずると更新しなくなるだろうから、との考えでブログ開始当初から毎日更新するよう心掛けていたのですが、怠惰な私にしては上出来だと思います。まあ今では、備忘録として不可欠になってしまったので、今後も毎日更新し続けるかは分かりませんが、更新を停止したり消したりする予定はありません。この更新頻度ならば、1万本目の記事は12年半後になるわけですが、何とか、現在の更新頻度を維持できるくらいの健康と経済力と時間的余裕を維持したいものです。

 ただ、通算5000本とはいっても、一応は不特定多数の読者がいることを前提に執筆しているとはいえ、実質的に備忘録としてしか機能していないことは問題で、率直に言ってほぼ自分の役にしかたっておらず、自己満足でしかないことは否定できません。やはり、有益な情報や面白い内容を提供できなければ、更新頻度が高くてもずっと過疎ブログのままなのでしょうが、自分の能力・性分以上のことをやろうとすると健康に悪影響があるでしょうし、有料ブログでもないので、このままでよいかな、と思っています。こうした向上心のなさを子供の頃から家族に注意され続けてきましたが、性格や生き方を変えるのはなかなか難しいものです。まあこれも、家族に言わせると、怠惰な人間の言い訳にすぎない、となるわけですが、ともかく今後も、しぶとく生き続けて地道に更新していくつもりです。

 ちなみに、1000本目は、『太陽にほえろ! 1979 DVD-BOX I』
https://sicambre.at.webry.info/200901/article_2.html
2000本目は、ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』117・118話
https://sicambre.at.webry.info/201109/article_29.html
3000本目は、現代人の発祥地の推定
https://sicambre.at.webry.info/201405/article_10.html
4000本目は、2019年の大河ドラマはオリンピックが題材
https://sicambre.at.webry.info/201611/article_17.html
でした。

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