ネオニコチノイド系殺虫剤の使用により破綻した宍道湖の漁業(追記有)

 宍道湖の漁業におけるネオニコチノイド系殺虫剤の使用の影響に関する研究(Yamamuro et al., 2019)が公表されました。日本語の解説記事もあります。花粉媒介種に対して世界で最も広く使われているネオニコチノイド系殺虫剤の悪影響はよく知られています。この研究は化学・生物学・漁獲量に関する20年以上に及ぶデータを用いて、動物プランクトンからワカサギやウナギといった商業漁業種に至るまで、宍道湖の水中食物連鎖におけるネオニコチノイドの影響を追跡しました。

 その結果、1993年に初めてネオニコチノイド系殺虫剤が使用されたのと時を同じくして、春季の動物プランクトンの平均生物量が83%減少し、その直後に動物プランクトンを餌とする種の漁業が完全に破綻した、と明らかになりました。ワカサギの漁獲量だけでも、ネオニコチノイド初使用からわずか1年後には年間240トンから22トンに急減しました。この研究は、ネオニコチノイド系殺虫剤によりワカサギやウナギの餌である無脊椎動物の個体数が減少した結果、宍道湖の漁獲量も間接的に減少した、と推測しています。

 また、この時期に日本全国で湖における漁獲量が減少したことも、殺虫剤使用による食物網の崩壊に起因しているのではないか、とこの研究は示唆しています。この研究は、ネオニコチノイド系殺虫剤は世界で最も広く使用されている殺虫剤なので、同様の動態が世界中の水域でも展開している可能性を指摘しています。この研究は、脊椎動物を含むその他の生物に対しても、ネオニコチノイド系殺虫剤の間接的影響が及んでいる可能性を示しました。じっさい、すでにハチに関してはネオニコチノイド系殺虫剤の悪影響が指摘されています(関連記事)。


参考文献:
Yamamuro M. et al.(2019): Neonicotinoids disrupt aquatic food webs and decrease fishery yields. Science, 366, 6465, 620–623.
https://doi.org/10.1126/science.aax3442


追記(2019年11月16日)
 ナショナルジオグラフィックでも報道されました。

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