古典期マヤ社会を崩壊させた旱魃

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、古典期マヤ社会を崩壊させた旱魃に関する研究(Evans et al., 2018)が公表されました。日本語の解説記事もあります。紀元後800~1000年頃となる古典期終末期のマヤ文化の崩壊は一般的に、過去の気候急変が古代社会の衰退にどれほど大きな影響を及ぼすのか、という事例として使用されます。マヤ地域の古気候研究では、古典期マヤ社会の崩壊が異例な乾燥期に起きたことは示されているものの、この時期が実際にどの程度乾燥していたのか、明確になっていません。大半の気候データは、たとえば他の時期より単純に湿度が高い、もしくは乾燥しているなど、質的な復元に限られています。

 この研究は、沈殿石膏を含む堆積物コアを使ってメキシコのチチャンカナブ(Chichancanab)湖の水の同位体組成を復元しました。この研究は、過去の乾燥状態の代用として、湖の底に層状に沈殿した石膏の結晶構造に組み込まれた水分子の三重項酸素と水素の同位体組成を測定しました。その結果、古典期終末期、マヤ低地の年間降水量は平均で約50%、最も乾燥していた時期では最大70%も減少していたことを発見しました。また、現在と比較して相対湿度が3~8%減少していたという測定結果も初めて出せました。この知見により、低地マヤ社会が経験した旱魃の深刻さと継続期間が明らかになったとともに、マヤの農耕および社会政治的システムに対する旱魃の影響をより深く理解するために必要な定量的データが得られました。


参考文献:
Evans NP. et al.(2018): Quantification of drought during the collapse of the classic Maya civilization. Science, 361, 6401, 498-501.
https://doi.org/10.1126/science.aas9871

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