近くにいるクラゲに刺されなくても痛みを感じる理由(追記有)

 近くにいるクラゲに刺されなくても痛みを感じる理由に関する研究(Ames et al., 2020)が公表されました。マングローブ林の流域に生息するサカサクラゲ属のクラゲ(Cassiopea xamachana)は、浅瀬の底で上下逆さになっており、フワフワした口腕が上向きについています。アメリカ合衆国フロリダ州やカリブ海やミクロネシアの周辺でシュノーケリングをする人々が、クラゲに直接接触していないのにクラゲに刺された感覚(stinging water)を経験したことは、かなり以前から報告されています。その原因については、多くの学説が提唱されてきましたが、正確には分かっていません。

 この研究は、サカサクラゲ属に関する科学文献を20世紀初頭までさかのぼって調べて、stinging waterに関する手掛かりを調査しました。その結果、サカサクラゲ属動物が分泌する粘液に非常に小さな細胞塊(カッシオソーム)が含まれている、と明らかになりました。この研究は顕微鏡を使って、カッシオソーム(cassiosome)の外層が数千個の刺胞(クラゲの刺細胞)に覆われていることを発見しました。刺胞は、クラゲの触手の特殊化した細胞に通常含まれている毒素入りカプセルで、被食者を殺せます。さらにこの研究は、クラゲがカッシオソームを含む粘液を小さな手榴弾のように水中に放出して、stinging waterを生じさせることを明らかにし、Cassiopea xamachanaの近縁4種からもカッシオソームを発見しました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


クラゲが近くで泳いでいると突き刺されたような痛みを感じるのはなぜか

 サカサクラゲ属のCassiopea xamachanaの粘液に含まれる刺細胞からできている構造が明らかになり、cassiosome(カッシオソーム)と命名された。カッシオソームは、被食者を殺すことができ、マングローブ林の流域でシュノーケリングをする人々が経験するstinging waterという感覚を引き起こしている可能性が高い。今回の研究結果を報告する論文が、Communications Biologyに掲載される。

 マングローブ林の流域に生息するサカサクラゲ属のクラゲは、浅瀬の底で上下逆さになっており、フワフワした口腕が上向きについている。米国フロリダ州、カリブ海、ミクロネシアの周辺でシュノーケリングをする人々は、クラゲに直接接触していないのにクラゲに刺された感覚(stinging water)を経験したことをかなり以前から報告している。その原因については、数々の学説が提唱されてきたが、正確な原因は分かっていない。

 今回、Gary Voraたちの研究チームは、サカサクラゲ属に関する科学文献を1900年代初頭までさかのぼって調べて、stinging waterに関する手掛かりを探した。その結果、サカサクラゲ属動物が分泌する粘液に非常に小さな細胞塊(カッシオソーム)が含まれていることが判明した。Voraたちは、顕微鏡を使って、カッシオソームの外層が数千個の刺胞(クラゲの刺細胞)に覆われていることを発見した。刺胞は、クラゲの触手の特殊化した細胞に通常含まれている毒素入りカプセルである。そして、Voraたちは、クラゲがカッシオソームを含む粘液を小さな手榴弾のように水中に放出して、stinging waterを生じさせることを明らかにし、C. xamachanaの近縁種(4種)からもカッシオソームを発見した。



参考文献:
Ames CL. et al.(2020): Cassiosomes are stinging-cell structures in the mucus of the upside-down jellyfish Cassiopea xamachana. Communications Biology, 3, 67.
https://doi.org/10.1038/s42003-020-0777-8


追記(2020年2月18日)
 ナショナルジオグラフィックでも報道されました。

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