白亜紀のハチドリサイズの恐竜(追記有)

 白亜紀のハチドリサイズの恐竜に関する研究(Xing et al., 2020)が公表されました。ミャンマー北部で見つかる9900万年前頃の琥珀に封入された骨からは、他の堆積環境では通常保存されないような、小型の動物相の軟部組織や骨格構造についての前例のない手掛かりが得られます。そうした標本には多様な脊椎動物のものが含まれますが、そのうちエナンティオルニス類鳥類の骨格が保存されている標本はこれまでに7点報告されており、成体と見られる少なくとも1点を含むそれら全ては、石質物質から回収された標本よりも小さいことが知られています。

 本論文は、保存状態がきわめて良好な小型の鳥類様頭蓋について報告しています。その特徴から、この頭蓋は新属新種(Oculudentavis khaungraae)のものと確認されました。「Oculudentavis」とは、「犬歯鳥」という意味です。この新種恐竜は既知で最小の中生代恐竜と考えられ、そのサイズは、頭蓋骨の長さが7.1mmと、最小の現生鳥類マメハチドリ(Mellisuga helenae)に匹敵します。この新種恐竜標本には、頭蓋の融合の独特なパターンやトカゲの眼に似た固有派生形質的な眼の形態など、小型化の制約を示唆する特徴が複数保存されています。円錐状に並んだ強膜小骨は瞳孔が小さかったことを明示しており、これは昼行性の活動を示唆しています。この新種恐竜の上顎と下顎には多数の鋭い歯があり、それぞれの顎に合計29~30本の歯が生えていた、と推定されています。この新種恐竜は捕食者で、歯がなく花蜜を餌にする同じようなサイズの現生鳥類とは異なり、小型の節足動物や無脊椎動物を餌にしていた可能性がひじょうに高い、と示唆されています。

 小型化は隔離された環境で起こることが最も多いので、この新種恐竜の小さなサイズは、この琥珀がテチス海横断島弧(Trans-Tethyan arc)を構成する島の1つで形成されたとする、以前の見解と一致します。この新種恐竜のサイズおよび形態は、これまで知られていなかったボディープランと、これまで発見されていなかった生態を示唆しています。この発見は、脊椎動物の体サイズの下限を明らかにする上で、琥珀封入物が持つ可能性を浮き彫りにしています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


古生物学:ハチドリほどの小さなサイズの、琥珀に保存されていた恐竜

 琥珀に閉じ込められた頭蓋は、鳥類様恐竜の新種であり、これまでに報告された中生代の恐竜の中で最も小さい可能性のあることが明らかになった。この頭蓋について記述した論文が、今週、Nature に掲載される。

 琥珀の内包物は、これまで得られなかった小動物の軟組織と骨格構造に関する知見をもたらしている。これは、小動物の軟組織や骨が脆弱なために他の堆積物にほとんど保存されていないからだ。この論文で、Jingmai O’Connor、Luis Chiappeたちは、ミャンマー北部で出土した約9900万年前の琥珀の中で見つかった鳥類の頭蓋に似た非常に小さな頭蓋について記述している。この頭蓋骨を持つ恐竜は、Oculudentavis khaungraaeと命名された。この保存状態の良い標本の頭蓋骨の長さはわずか7.1ミリメートルで、この恐竜が、現生鳥類の中で最も小さなマメハチドリのサイズに近かったことを示されている。

 Oculudentavisとは、「犬歯鳥」という意味で、この恐竜の生活様式を解明する上で手掛かりとなる注目すべき特徴を反映している。この頭蓋の大部分は、トカゲの目に似た大きな眼窩が占めている。この眼窩は開口部が狭く、入射光が少ないことから、Oculudentavisは昼光条件下での活動に適していることが分かる。その上顎と下顎には多数の鋭い歯があり、この研究チームは、それぞれの顎に合計29~30本の歯が生えていたと推定している。以上の新知見からは、Oculudentavisが捕食者であり、歯がなく花蜜を餌にする同じようなサイズの現生鳥類とは異なり、小型の節足動物や無脊椎動物を餌にしていた可能性が非常に高いことが示唆されている。

 同時掲載のRoger BensonのNews & Views論文によれば、「この数年の間にミャンマー琥珀から予想外の知見が得られた」とされる。Bensonは、この新知見を踏まえて、「今後もこうした発見が続く可能性は高く、特に体サイズの小さな動物についてそれが言える」という考えを示している。


古生物学:ミャンマーで発見された白亜紀のハチドリサイズの恐竜

Cover Story:小さな大発見:琥珀の中に保存されていた小さな恐竜の完全な頭蓋

 表紙の琥珀のかけらは、差し渡しで31.5 mmしかない。これはミャンマーで発見されたもので、既知最小の中生代の恐竜のものと思われる完全な頭蓋を含んでいる。今回J OʻConnorたちは、この頭蓋が約9900万年前の原始的な鳥類に似た新種の恐竜のものであることを明らかにし、Oculudentavis khaungraaeと命名した。頭蓋自体は、長さが14.25 mmしかなく、この生物のサイズが、現生鳥類で最小のマメハチドリ(Mellisuga helenae)と同じくらいであったことになる。眼の小さな開口部は、O. khaungraaeが、明るい昼間の環境で活発に活動していたことを示唆しており、顎に並んだ長い歯列は、主に無脊椎動物を捕食していたことを思わせる。この小さなサイズの化石は、恐竜の小型化がこれまで考えられていたより早く進んでいた可能性を示唆している。



参考文献:
Xing L. et al.(2020): Hummingbird-sized dinosaur from the Cretaceous period of Myanmar. Nature, 579, 7798, 245–249.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2068-4


追記(2020年3月14日)
 ナショナルジオグラフィックでも報道されました。

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