氷期と間氷期の原動力

 氷期と間氷期の原動力に関する研究(Bajo et al., 2020)が公表されました。日本語の解説記事もあります。258万年前頃~現在までとなる第四紀は、一般に氷期と間氷期を繰り返す特徴があるとされ、北半球の大部分では、大陸ほどの大きさの氷床が凍った海水のように拡大・縮小と浸食を繰り返しています。中期更新世気候遷移期(MPT、125万~70万年前頃)より前には、第四紀の地球における氷河周期は約4万年ごとに繰り返していました。しかしMPTの間、第四紀の氷期パターンは基本的に約10万年間隔で移動と拡大を繰り返しました。MPT以前の4万年周期は、地球軌道の傾き(自転軸傾斜)の周期的変動により引き起こされた、と広く認められているものの、軌道強制力理論ではMPT以降の長い氷期・間氷期をじゅうぶんには説明できません。

 地球の氷河時代周期の軌道理論を評価するさいの主な課題は、年代特定によく使用される深海堆積物記録の年代がもともと不確かなことです。しかし、正確に年代推定された洞窟二次生成物の記録を用いて、64万年前頃までの海洋堆積物に記録された氷期終了の年代を決定した最近の研究によると、むしろMPT以降の間隔は軌道変化により引き起こされる短いサイクルである、と示唆されています。この研究は、イタリアの洞窟二次生成物にウラン・鉛年代測定法を適用して、新たに高精度で海洋堆積物記録の年代を制約し、それを過去数百万年間に起こった11回の氷河拡大・退氷事象にまで拡張しました。この研究は、MPT以降の最初の2回の退氷事象が2回の自転軸傾斜周期に分けられることを示し、MPTの最中も後も、第四紀を通して、地球の自転軸傾斜は依然として氷期・間氷期周期の主な原動力である、と結論づけました。気候変動は人類進化にも大きな影響を与えてきたと考えられることからも、注目される研究です。


参考文献:
Bajo P. et al.(2020): Persistent influence of obliquity on ice age terminations since the Middle Pleistocene transition. Science, 367, 6483, 1235–1239.
https://doi.org/10.1126/science.aaw1114

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