麻疹の起源

 麻疹の起源に関する研究(Düx et al., 2020)が公表されました。日本語の解説記事もあります。麻疹ウイルスは人類最古の病原体の一つと考えられており、保健機関と科学者たちは、麻疹ウイルスを主要標的に一般的なヒト病原体の進化経路の解明に努めてきました。研究者たちは、麻疹ウイルスが出現したのは、今は根絶された牛疫ウイルスの家畜から人へのスピルオーバーが起きた時だと推測しています。

 一般的に麻疹の出現は紀元後9世紀末頃と考えられていますが、疑問も呈されています。この研究は、麻疹の起源をより正確に突き止めるべく、1912年の麻疹症例から採取した肺の試料を用いて、麻疹ウイルスゲノムを再構築しました。この研究は次に、配列データを1960年の麻疹ゲノム、127の現代の麻疹ゲノム、牛疫ウイルスおよびPPRV(小反芻獣疫ウイルス)と呼ばれる別の家畜ウイルスのゲノムと比較しました。この研究はさらに、一連の進化の分子時計モデルを使って、紀元前1174年から紀元後165年、推定平均紀元前528年のヒトにおける麻疹の出現を追跡しました。

 その結果、数千年間牛ウイルスの祖先が家畜間で循環し、その後、ヒトへと感染して定着し、紀元前千年紀末に拡大し始めたという経過を裏づけている、と推測されました。この研究で提示された麻疹ウイルスの出現は、以前の有力説より1400年ほど早く、この時期にはユーラシアの広範な地域(西部・南部・東部)で大規模な都市が出現しました。全体的な人口増加と畜産発展とともに、人口過密な都市の広範な出現が、麻疹ウイルス出現の背景にあったようです。


参考文献:
Düx A. et al.(2020): Measles virus and rinderpest virus divergence dated to the sixth century BCE. Science, 368, 6497, 1367–1370.
https://doi.org/10.1126/science.aba9411

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