夜間のブルーライトと鬱病の関係

 夜間のブルーライトと鬱病の関係についての研究(An et al., 2020)が公表されました。光は、気分など哺乳類のさまざまな生理機能に影響を及ぼします。日中に行なわれる光線療法は鬱病患者に抗鬱効果をもたらすことがある一方で、光害や電子機器による夜間の光への過度の曝露が鬱症状に関連している、と明らかになっていました。しかし、このような夜間の光による影響の根底にある神経機構は、よく分かっていませんでした。

 この研究は、マウスに対して夜間にブルーライトを2時間照射し、それを3週間続けました。その結果、マウスが徐々に鬱病様行動を発現するまでに最長3週間かかる、と明らかになりました。この行動は、実験終了後少なくとも3週間持続することが観察されました。この実験では、鬱病様行動は、逃避行動の減少とショ糖嗜好性の低下という2つの尺度により測定されました。

 この研究は、網膜に含まれる特定のタイプの視細胞から2つの脳領域(背側手綱周囲核と側坐核)に至る神経経路により実験結果を説明できる、と強調しています。この2つの脳領域の結合を遮断すると、夜間の照明を浴びることで誘発される行動の変化が生じませんでした。また、この研究は、夜間の照明を浴びると、日中に光を浴びる場合と比べて、この神経経路がかなり強く活性化されることも明らかにしました。これは、日中の光曝露が行動変化を引き起こさないことの説明となるかもしれません。

 これと同じ神経経路がヒトの場合にも活性化されるのであれば、夜間に過度の照明を浴びると鬱症状が発現する理由は、この研究で得られた知見により説明できる可能性がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


神経科学:夜間にブルーライトを浴びたマウスのうつ病様行動を説明する

 数週間にわたって夜間に青色光を2時間ずつ浴びたマウスが、うつ病様行動を示すようになったことを報告する論文が、Nature Neuroscience に掲載される。今回の研究では、この現象の原因となる神経経路が突き止められ、夜間に過度の光を浴びた人間に生じる影響を解明する手掛かりになると考えられる。

 光は、哺乳類のさまざまな生理機能(気分など)に影響を及ぼす。日中に行われる光線療法はうつ病患者に抗うつ効果をもたらすことがある一方で、夜間の光(光害や電子機器による)への過度の曝露がうつ症状に関連していることが明らかになっていた。しかし、このような夜間の光による影響の根底にある神経機構はよく分かっていなかった。

 今回、Tian Xueたちの研究チームは、マウスに対して夜間にブルーライトを2時間照射し、それを3週間続けた。その結果、マウスが徐々にうつ病様行動を発現するまでに最長3週間かかることが分かった。この行動は、実験終了後少なくとも3週間持続することが観察された。この実験では、うつ病様行動は、逃避行動の減少とショ糖嗜好性の低下という2つの尺度によって測定された。Xueたちは、網膜に含まれる特定のタイプの視細胞から2つの脳領域(背側手綱周囲核と側坐核)に至る神経経路によって実験結果を説明できると強調している。この2つの脳領域の結合を遮断すると、夜間の照明を浴びることで誘発される行動の変化が生じなかった。また、Xueたちは、夜間の照明を浴びると、日中に光を浴びる場合と比べて、この神経経路がかなり強く活性化されることも見いだした。これは、日中の光曝露が行動変化を引き起こさないことの説明となるかもしれない。

 これと同じ神経経路がヒトの場合にも活性化されるのであれば、夜間に過度の照明を浴びるとうつ症状が発現する理由を今回得られた知見によって説明できる可能性があると、Xueたちは結論付けている。



参考文献:
An K. et al.(2019): A circadian rhythm-gated subcortical pathway for nighttime-light-induced depressive-like behaviors in mice. Nature Neuroscience, 23, 7, 869–880.
https://doi.org/10.1038/s41593-020-0640-8

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