鳥類の認知能力の基盤

 鳥類の認知能力の基盤に関する二つの研究が公表されました。日本語の解説記事もあります。なぜ一部の鳥類が、哺乳類とは全く異なる前脳組織を有するにもかかわらず哺乳類と同様の認知能力を有するのか、1世紀にわたり議論されてきました。哺乳類の大脳皮質に認められる特徴的な層状構造の代わりに、鳥類の脳外套には高いニューロン密度が特徴的に認められます。一方の研究(Stacho et al., 2020)は、ハトおよびフクロウの脳外套の解剖学的特徴を検討し、この領域のニューロン構造を極めて詳細に視覚化できました。この研究は、類縁性の遠い各種鳥類において脳外套の線維構造およびニューロン回路が、哺乳類の皮質の層状構造と極めて似ていることを見つけました。この構造は、鳥類の他に例をみない認知能力の背景となっている可能性があります。

 もう一方の研究(Nieder et al., 2020)は、ハシボソガラスに視覚刺激に反応するよう訓練して、そのニューロン反応を観察しました。その結果、霊長類の前頭前皮質と同様に、カラスの脳外套には、意識があることの標識と考えられる、見たものに対する哺乳類の知覚に対応するようなニューロン活動が認められた、と報告されています。これら2件の研究は、意識などの複雑な認知能力を可能にする哺乳類の皮質に類似したニューロン構造が、3億2千万年前頃の鳥類と哺乳類の最小共通祖先においてすでに存在していた可能性がある、と示唆します。あるいは、そうした構造は、きわめて異なる前脳組織を有する両種において、収斂進化の過程によりそれぞれ独立に発生したのかもしれません。


参考文献:
Nieder A, Wagener L, and Rinnert Rinnert.(2020): A neural correlate of sensory consciousness in a corvid bird. Science, 369, 6511, 1626–1629.
https://doi.org/10.1126/science.abb1447

Stacho M. et al.(2020): A cortex-like canonical circuit in the avian forebrain. Science, 369, 6511, eabc5534.
https://doi.org/10.1126/science.abc5534

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