後期白亜紀の独特な嘴の鳥類

 後期白亜紀の独特な嘴の鳥類に関する研究(O’Connor et al., 2020)が公表されました。中生代(約2億5000万~6500万年前)の鳥類では、サイズや飛行への適応や羽毛の構成に著しい多様性が認められますが、嘴の形状と発達は比較的保存されたパターンを示しています。新鳥亜綱(すなわちクラウン群)の鳥類にも顔の発達への制約は見られますが、中生代の鳥類とは異なり、さまざまな摂食生態および行動生態と関連して、嘴の形態は比較的多様です。

 この研究は、マダガスカルで見つかった、後期白亜紀のカラスサイズのステム群鳥類の新属新種(Falcatakely forsterae)について報告しています。Falcatakelyの吻は長くて太く、こうした嘴の形態は中生代の鳥類ではこれまで知られておらず、外見上はクラウン群鳥類の一群(たとえばオオハシ類)のものと類似しています。Falcatakelyの吻は、歯のない大きく広がった上顎骨と歯のある小さな前上顎骨で構成されています。個々の骨要素の形態計測学的解析および吻の三次元形状から、Falcatakelyは、非鳥類獣脚類に似た上顎骨と前上顎骨の構成を保持しながら、新鳥亜綱の鳥類様の顔の構造を発達させていた、と示されました。

 Falcatakelyに見られる吻のパターン形成および上下方向の大きな広がりは、ある程度の発達的不安定性と、初期に分岐した鳥群ではこれまで知られていなかった大きな形態的相違を明らかにしています。ステム群鳥類でこの表現型が発現していたこと、およびそこから想定される生態は、前上顎骨が支配的な新鳥亜綱の鳥類様の吻への統合は、嘴の大型化における進化的必要条件ではなかったことを明確に示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


進化:進化史に残る大きなくちばしの古代鳥

 オオハシの現生種を思い起こさせる、大きくて奥行きのあるくちばしを持つ新属新種の鳥類の化石について報告する論文が、今週、Nature に掲載される。この化石標本は、白亜紀後期(約1億~6600万年前)のマダガスカルに生息していた鳥類種のものであり、古代鳥のくちばしがこれまで考えられていたよりもはるかに多様であったことを示唆している。

 中生代(2億5000万~6500万年前)の鳥類は、体サイズと行動に多様性があったが、くちばしの形状は、比較的似ていたと考えられていた。今回、Patrick O’Connorたちの研究チームは、こうした考えに反する新属新種のカラスのサイズの鳥類Falcatakely forsteraeの化石について記述している。F. forsteraeのくちばしは、大きく、奥行きがあり、その時代に一般的だった他の鳥類とは明らかに違っていた。上顎は横に広がっており、先端には小さな歯があった。くちばしの骨要素は、その三次元形状とともに、現生鳥類に似た顔面の解剖学的構造の発達を示す一方で、頭蓋骨と上顎は、飛翔能力のない獣脚類のものに似ていた。

 O’Connorたちは、F. forsteraeは中生代の鳥類のくちばしの多様性を示していると結論付けている。


古生物学:マダガスカルの後期白亜紀の鳥類が明らかにする、くちばしの独特な発達

古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし

 中生代の鳥類は極めて多様だったが、くちばしの形状だけは例外で、むしろ変化が小さい傾向があった。現生鳥類のくちばしの形状ははるかに多様である。しかしこの概念は、今回、現生のオオハシ類のくちばしに似た長く太いくちばしを持つ後期白亜紀のカラスサイズの鳥類がマダガスカルで発見されたことを受け、一変するだろう。この新種の鳥類のくちばしより後方の頭蓋は多くの点で原始的だが、そのくちばしの特徴は、初期の鳥類のくちばしが従来の予想よりはるかに多様であった可能性を示している。



参考文献:
O’Connor PM. et al.(2020): Late Cretaceous bird from Madagascar reveals unique development of beaks. Nature, 588, 7837, 272–276.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2945-x

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