自閉症におけるde novo縦列反復配列変異のパターンとその役割

 自閉症におけるde novo縦列反復配列変異のパターンとその役割に関する研究(Mitra et al., 2021)が公表されました。自閉症スペクトラム障害(ASD)は早期発症型の発達障害で、コミュニケーションや社会的相互作用における障害と、限定的あるいは反復的な行動を特徴とします。家系研究から、ASDには遺伝的多様体とde novo多様体の両方が寄与する大きな遺伝的基盤がある、と示されています。de novo変異は、全ての孤発性ASD症例(家族内で1人の子どものみ発症している場合)のうち30%に寄与すると推定されています。縦列反復配列(TR;本論文では、サイズが1~20塩基対の配列が連続的に反復したものと定義されます)は、ヒトのde novo変異の主要な供給源の一つとなっており、TRの伸長は多数の神経疾患や精神疾患と関連付けられています。しかし、de novo TR変異はこれまでゲノム規模で特徴が解析されたことはなく、それらのASDへの寄与についても調べられていません。

 この研究は、塩基配列データからde novo TR変異を特定して優先順位をつけるための新たなバイオインフォマティクス手法を開発し、これを用いて、ASD発端者とASDを発症していないキョウダイでde novo TR変異のゲノム規模の特性解析を行ないました。この研究は、特定の変異事象とそれらの反復数の正確な変化を推定し、大規模な伸長ではなく、おもにより広く見られる段階的なコピー数変化に注目しました。その結果、ASD発端者では、TR変異がゲノム規模で著しく過剰になっている、と明らかになりました。発端者における変異は、よりサイズが大きく、胎児の脳調節領域に多く見られる傾向があり、進化的により有害だと予測されました。これらの結果は、今後のde novo変異の研究における反復多様体の考慮の重要性を強調しています。自閉症に関しては、進化的観点からも注目されます(関連記事)。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


遺伝学:自閉症におけるde novo縦列反復配列変異のパターンとその役割

遺伝学:自閉症患者におけるde novo縦列反復配列変異

 自閉症スペクトラム障害(ASD)の遺伝的基盤にはde novo変異が寄与しているが、ASD発端者におけるde novoの縦列反復配列(TR)の役割については、完全には分かっていない。M Gymrekたちは今回、両親と子の3人組から得られた全ゲノム塩基配列解読データでde novo TR変異を検出するための手法「MonSTR」を開発し、ASD発端者のde novo TR変異量はASDでないきょうだいの変異量よりも多いことを報告している。著者たちはさらに、個々のTR対立遺伝子にかかる選択を計測する別の手法「SISTR」も開発し、これを用いて、ASDリスクに最も大きく寄与するde novo TR変異が最も強い選択圧を受けていることを明らかにした。



参考文献:
Mitra I. et al.(2021): Patterns of de novo tandem repeat mutations and their role in autism. Nature, 589, 7841, 246–250.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-03078-7

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