チクシュルーブ・クレーターの原因となった小惑星の衝突軌跡

 取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、チクシュルーブ・クレーターの原因となった小惑星の衝突軌跡に関する研究(Collins et al., 2020)が公表されました。メキシコにあるチクシュルーブ・クレーターの形成につながった約6600万年前の小惑星の衝突は、地球の環境に壊滅的な影響を与え、ほぼ同時期に起きた大量絶滅事象に関連する、と広く信じられています。しかし、この小惑星の衝突軌跡については、いまだに議論が続いています。

 この研究は、チクシュルーブ・クレーターの形成をシミュレートしたモデルにより、小惑星が飛来した方角と衝突角度を推測しました。この研究は、4種類の衝突角度(90度・60度・45度・30度)を考慮した3D数値シミュレーションを用いました。この研究は、このデータと地球物理学的観測に基づいて、北東方向から飛来した小惑星が急角度(水平面に対して45~60度)で衝突し、チクシュルーブ・クレーターが形成された、と推測しています。この研究はまた、水平面に対して45~60度の衝突角度であれば、クレーターから放出された物質がほぼ対称的に分布し、衝突した小惑星の質量当たりの気候変動ガス放出量が他の検証対象シナリオの場合よりも多かったと考えられる、と推測しています。

 白亜紀末の大量絶滅につながったこの小惑星衝突に関しては、衝突地点付近ではマグニチュード11以上と推定される地震などの地球全体に破壊的な衝撃波と、大きな熱パルスおよび約300mの津波が瞬く間に発生したかもしれない、と指摘されています(関連記事)。また、この小惑星衝突地点では、白亜紀末の大量絶滅後に生態系が急速に回復した、と推測されています(関連記事)。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


惑星科学:チクシュルーブ・クレーターを生み出した小惑星の衝突軌跡を突き止める

 メキシコにあるチクシュルーブ・クレーターは、小惑星が水平面に対して45~60度というかなり大きな角度で衝突したことによって形成されたことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。

 チクシュルーブ・クレーターの形成につながった約6600万年前の小惑星の衝突は、地球の環境に壊滅的な影響を与え、ほぼ同時期に起きた大量絶滅事象に関連すると広く信じられている。しかし、この小惑星の衝突軌跡については、いまだに議論が続いている。

 今回、Gareth Collinsたちの研究チームは、チクシュルーブ・クレーターの形成をシミュレートしたモデルを使って、小惑星が飛来した方角と衝突角度を決定した。Collinsたちは、4種類の衝突角度(90度、60度、45度、30度)を考慮した3D数値シミュレーションを用いた。Collinsたちは、このデータと地球物理学的観測に基づいて、北東方向から飛来した小惑星が急角度(水平面に対して45~60度)で衝突し、チクシュルーブ・クレーターが形成されたという見解を示している。また、Collinsたちは、この衝突角度であれば、クレーターから放出された物質がほぼ対称的に分布し、衝突した小惑星の質量当たりの気候変動ガス放出量が他の検証対象シナリオの場合よりも多かったと考えられると主張している。



参考文献:
Collins GS. et al.(2020): A steeply-inclined trajectory for the Chicxulub impact. Nature Communications, 11, 1480.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-15269-x

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