一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャー

 一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーに関する研究(van Dongen et al., 2021)が公表されました。全ての妊娠の12%は多胎妊娠として始まると推定されていますが、多胎出産に至るのは全妊娠のわずか2%です。こうした状態は、バニシングツイン症候群として知られています。一卵性双生児が発生する原因は未だに解明されておらず、一卵性双生児が家族内で遺伝することは稀なため、この現象はランダムに起こるとする仮説が有力視されてきました。

 この研究は、いくつかの大規模な国際的双生児コホートを対象として、一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーの特定を試みました。その結果、全ての一卵性双生児に共通するエピジェネティック・シグネチャーがあり、受胎から成人期まで存続する、と明らかになりました。また、この研究は、こうしたエピジェネティック・シグネチャーを用いれば、双生児でない者が当初は一卵性双生児として受胎していたかどうかを判定できる、と実証しています。ただ、このエピジェネティック・シグネチャーが一卵性双生児に何らかの生物学的影響を及ぼすのかどうかは不明で、さらなる研究が必要です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


遺伝学:一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーが見つかった

 一卵性双生児のDNAには、受胎から成人期まで存続する特異的なエピジェネティック・シグネチャーがあることを示唆する論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、一卵性双生児の受胎に関係する生物学的性質を解明する新たな手掛かりとなる。

 全ての妊娠の12%は多胎妊娠として始まると推定されているが、多胎出産に至るのは、全妊娠のわずか2%である。こうした状態は、バニシングツイン症候群として知られている。一卵性双生児が発生する原因は、いまだに謎であり、一卵性双生児が家族内で遺伝することはまれなため、この現象はランダムに起こるとする仮説が有力視されてきた。

 今回、Jenny van Dongen、Dorret Boomsmaたちは、いくつかの大規模な国際的双生児コホートを対象として、一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーを特定する研究を行った。その結果、全ての一卵性双生児に共通するエピジェネティック・シグネチャーがあり、受胎から成人期まで存続することが明らかになった。また、この著者たちは、このエピジェネティック・シグネチャーを用いれば、双生児でない者が当初は一卵性双生児として受胎していたかどうかを判定できることを実証している。

 このエピジェネティック・シグネチャーが一卵性双生児に何らかの生物学的影響を及ぼすかどうかは不明であり、さらなる研究が必要である。



参考文献:
van Dongen J. et al.(2021): Identical twins carry a persistent epigenetic signature of early genome programming. Nature Communications, 12, 5618.
https://doi.org/10.1038/s41467-021-25583-7