ニュージーランドにおける人類の移住の影響

 ニュージーランドにおける人類の移住の影響エピに関する研究(McConnell et al., 2021)が公表されました。ニュージーランドは、人類が定着した地球上の最後の居住可能な場所の一つとされており、人類の定住が始まった年代は13世紀後半と推測されています(関連記事)。木炭記録は、人類の定着前には山火事がほとんどなく、13~14世紀のマオリ人の定住後に広範に見られるようになったことを示していますが、関連したバイオマスの燃焼による炭素排出の正確な時期や規模はよく分かっておらず、清浄な南大洋と南極大陸における光を吸収する黒色炭素エアロゾル濃度への影響もよく分かっていません。

 本論文は、年代がよく決定されている一連の南極氷床コア記録を用いて、南極の大陸部における黒色炭素の堆積速度が過去2000年にわたって安定していたものの、南極半島北部ではそれらが過去700年の間に約3倍高かったことを示します。エアロゾルモデルは、観測された黒色炭素の堆積が、タスマニアやニュージーランドやパタゴニアにおける火事を示唆する南緯40度以南での排出の増加のみに起因する可能性を示していますが、同時に増加したことを示しているのはニュージーランドの古代の火事記録のみです。南極半島北部では1297年(±30標準偏差)に急速な堆積の増加が始まっており、これは、13世紀後半のマオリ人の定住と、16世紀の堆積が最大になった時期における36(±21 2標準偏差)Gg y−1というニュージーランドの黒色炭素排出と一致しています。

 木炭記録と花粉記録は、より早い時期にタスマニアとパタゴニア南部で気候に調節された燃焼があったことを示唆していますが、南極大陸における堆積記録は、ニュージーランドにおける燃焼による黒色炭素の排出が、過去2000年間のこれらの地域での他の産業革命以前の排出をはるかに上回っていた、と示しており、これにより、南半球の遠く離れた地域における初期の人間活動と関連づけられる大規模な環境への影響を示す明らかな証拠が得られました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


気候科学:ニュージーランドへの13世紀のマオリ人の到達後に増加した半球の黒色炭素

気候科学:ニュージーランドにおけるマオリ人の定住によって急激に増加した南半球の大気中黒色炭素

 産業革命以前の人類文明は、広範にわたって景観を大きく変えたが、これには燃焼によるものも含まれていた。今回J McConnellたちは、南極氷床コアのネットワークと大気輸送モデルを用いて、ニュージーランドにおける13世紀のマオリ文化の繁栄によって、大気中の黒色炭素が3倍に増加したことを示している。



参考文献:
McConnell JR. et al.(2021): Hemispheric black carbon increase after the 13th-century Māori arrival in New Zealand. Nature, 598, 7879, 82–85.
https://doi.org/10.1038/s41586-021-03858-9

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