大河ドラマ『青天を衝け』第33回「論語と算盤」

 今回は第一国立銀行の危機を中心に、経済面での近代化初期の様相が描かれました。第一国立銀行は、無担保で多額の貸付をしていた小野組の倒産により危機に陥り、これに乗じて三井が第一国立銀行を乗っ取ろうと企みますが、大隈重信の裁定により栄一はこの苦境を何とか乗り切ります。大隈の意図を岩崎弥太郎が大隈との会話の中で語る場面は、なかなか上手く構成されていたように思います。大隈も岩崎もしたたかなところがあり、大隈もそうですが、岩崎はとくに強烈な個性の個性が描かれているだけに、栄一と岩崎との対面が楽しみです。

 今回は栄一と慶喜との面会も描かれ、将軍時代の重圧から解放された慶喜ですが、旧幕臣からの恨みを一心に受けていることに、心を悩ませているようです。今後も慶喜の心境および慶喜と栄一との関係は、本作の軸の一つになりそうです。今回は、大隈との対比で大久保利通の器の大きさが描かれた感もあり、これまで小物の敵役との印象があった大久保も退場直前にやっと大政治家らしさが出てきて、よかったと思います。また、今回は幕臣時代の栄一の人脈が活かされており、福地源一郎や栗本鋤雲など久々に登場した人物もいて、本作の描写の積み重ねはしっかりしています。西郷隆盛も大久保も三野村利左衛門も退場して、本作が新たな段階に入ったことを感じさせ、残り8回と少なくなりましたが、今後も楽しみです。