横山伊徳『日本近世の歴史5 開国前夜の世界』

 まだ日付は変わっていないのですが、4月17日分の記事として掲載しておきます。『日本近世の歴史』全6巻の第5巻として、2013年3月に吉川弘文館より刊行されました。18世紀末~19世紀半ばまでの江戸幕府後期の歴史が、「対外関係」の視点から叙述されています。この時期の江戸幕府の政治・政権の在り様に、対外政策が影響を与えていたことは間違いないでしょうし、それは重視しなくてもよいような小さなものではなく、大きなものだったのでしょうが、正直なところ、この時期の概説としてはあまりにも「対外関係」に偏重している感は否めません。朝廷についての記述が手薄なのはあるていど仕方ないにしても、「国内」の経済・文化・社会状況については、もっと分量を割くべきだったように思います。

 もっとも、歴史とは本来特定の地域単位で簡単に区切れるようなものではなく、それは近代以降の国民国家の国境線も同様であり、一国史観・国民国家史観の虚偽性を改めて認識するという意味でも、本書のように広範な地域の動向を踏まえた叙述は必要だろう、と思います。私も、この時期のヨーロッパやアメリカの強国の動向には詳しくなく、それと江戸幕府の政治的動向について、上手くむすびつけて考えられていなかったため、私にとって本書は有益でした。ただ、一国史観・国民国家史観の虚偽性は現代日本社会で強調されかなり浸透した感があるので、本書についてそうした視点を今更強調するのは時代遅れだ、との見解もあるかもしれませんが。

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