78万~56万年前頃のウマのゲノム解読

 明日(11月9日)からしばらく留守にするかもしれないので、とりあえず来週分までまとめて更新することにします。これは11月10日分の記事として掲載しておきます。

 今となってはやや古い話題ですが、ウマのゲノム解読・比較により、発見した研究(Orlando et al., 2013)が報道されました。この研究では、カナダのユーコン準州で78万~56万年前頃の永久凍土層から発掘されたウマの骨から得られた低カバー率の概要ゲノム配列と、更新世後期のウマ、現代の家畜ウマ5品種、モウコノウマ(モンゴルのステップ原産で絶滅が危惧されている亜種)およびロバの概要ゲノム配列とが比較されました。78万~56万年前という年代は、解読された全ゲノム塩基配列としては、これまでで最も年代が古いことになります。その結果、現代のウマ・シマウマ・ロバの全ての起源となるウマ属系統が生じたのは、従来の想定よりもはるかに古い約450万~400万年前であることが示唆された、とのことです。

 この研究によって、これまでのゲノム配列の最古の記録を大きく更新することになりますから、これは大変な偉業だと思います。上記報道でもわずかに触れられていますが、これによりホモ=エレクトスやホモ=ハイデルベルゲンシスといった古人類のゲノム解読への展望が開けたわけで、今後の研究の進展が大いに楽しみです。とはいっても、上記報道でも指摘されているように、数十万年前の生物のゲノム解読が成功するか失敗するかは保存環境が決定的要因になりそうなので、数十万年前の古人骨でゲノム解読に成功する確率はそう高くなさそうです。インドネシア領フローレス島は寒冷な環境からは程遠いので、ホモ=フロレシエンシスと今後の発見が期待されるその祖先の人骨のゲノム解読は期待できそうになく、それはアフリカの古人骨でも同様でしょうが、ヨーロッパやシベリアの人骨だとゲノム解読に成功することもありそうです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。

進化: 古代のウマのDNAからウマ属系統を解明
カナダのユーコン準州で約78万~56万年前の永久凍土層から発掘されたウマの骨から、低カバー率の概要ゲノム配列が得られた。これは、解読された全ゲノム塩基配列としては、これまでで最も年代が古い。得られたデータは、更新世後期のウマ、現代の家畜ウマ5品種、モウコノウマ(モンゴルのステップ原産で絶滅が危惧されている亜種)およびロバの概要ゲノム配列と比較された。比較ゲノミクスにより、現代のウマ、シマウマおよびロバの全ての起源となるウマ属系統が生じたのは、約450万~400万年前であることが示唆された。この年代は従来の想定よりもはるかに古い。またこのデータは、モウコノウマが最後の現存する野生ウマ集団であるという説を裏付けている。



参考文献:
Orlando L. et al.(2013): Recalibrating Equus evolution using the genome sequence of an early Middle Pleistocene horse. Nature, 499, 7456, 74–78.
http://dx.doi.org/10.1038/nature12323

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