以前の推測より複雑だったトウモロコシの栽培化

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、トウモロコシの栽培化に関する研究(Kistler et al., 2018)が公表されました。日本語の解説記事もあります。トウモロコシはメキシコの野草テオシントが進化した栽培種で、南北アメリカ大陸全域に急速に拡散しました。古代、トウモロコシは農地のいたる所で栽培され、16世紀にヨーロッパ人が本格的にアメリカ大陸に到達した頃には、アメリカ大陸でありふれた食物源になっていました。トウモロコシがかつて栽培化されたことは広く知られていますが、その栽培化や南米での拡散の基本的な部分は依然として不明で、さらに、既存の考古学およびゲノムデータも必ずしも一致していませんでした。

 この研究は、南アメリカ大陸のトウモロコシのうち、栽培化された在来品種と考古学的試料である古代トウモロコシのゲノム配列を決定し、それらを世界各地の現代および古代のトウモロコシとテオシントの遺伝系統種と比較しました。その結果、トウモロコシの祖先は「栽培化半ばで」南アメリカ大陸に伝播した、とこの研究は推測しています。トウモロコシは、栽培化を示す遺伝的特徴が定着する前にメキシコの先祖から分離し、それらとは明らかに異なる南アメリカ大陸系統種が進化した、というわけです。一部のトウモロコシ種はその後引き続いてヒトが選択し、完全に栽培化しました。この研究は、ゲノムに関する研究結果と考古学的・古生態学的・言語学的データを組み合わせ、似てはいるものの別物である二次改良はアマゾン南西部で始まった、と推測しています。9000年前頃に現在の中央メキシコで始まったトウモロコシの栽培化は、以前考えられていたよりかなり複雑で微妙に異なるものだった、というわけです。


参考文献:
Kistler L. et al.(2018): Multiproxy evidence highlights a complex evolutionary legacy of maize in South America. Science, 362, 6420, 1309–1313.
https://doi.org/10.1126/science.aav0207

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