アルディピテクス・ラミダスの居住環境

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、アルディピテクス・ラミダス(Ardipithecus ramidus)の居住環境エピに関する研究(Gani, and Gani., 2011)が公表されました。初期人類の居住環境の特定は、二足歩行の発達など、初期人類の進化上の疑問を解明するうえで重要です。アルディピテクス・ラミダスは、エチオピアのミドルアワシュで化石が発見された、440万年前頃の初期人類です。この研究は、ラミダスの居住地について分析し、その居住地には大きな川と河岸植生があった、と推測しています。つまり、ラミダスはサバンナ地域の河岸に居住していたことになります。これまで、初期人類は川から遠く離れた森林環境に居住していたと考えられていましたが、この知見はそれとは対照的です。

 なお、その後の研究で、ラミダスは股関節伸展の点では、直立二足歩行のさいに現代人と同様の動作が推測されたものの、一方で木登りのような垂直方向の移動のさいには類人猿のような動作の可能性が指摘されています(関連記事)。ラミダスの直立二足歩行は、木登りの能力とのトレードオフ(交換)ではなかっただろう、というわけです。ラミダスに関しては、その後の人類とはつながっていない、との見解も提示されており(関連記事)、じっさい、ラミダスとアウストラロピテクス属との共存の可能性も指摘されていますが(関連記事)、440万年前頃のラミダス系統と進化史では比較的近い年代(たとえば500万年前頃)に分岐した系統が、アウストラロピテクス属、さらにはホモ属の祖先になった可能性はある、と考えています。その意味で、570万~530万年前頃のアルディピテクス・カダバ(Ardipithecus kadabba)が現代人の直接的祖先だった可能性はあると思います。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


初期人類の居住地を分析する

 アラミス(エチオピア)の樹木が散在する草原で、初期人類が河岸の森に居住していたことを示唆する研究が発表される。これまでの解釈では、初期人類が川から遠く離れた森林環境に居住していたとされるが、この新知見は、それとは対照的な内容となっている。初期人類の居住地を特定することは、二足歩行の発達など、初期人類の進化上の疑問を解明するうえで重要だ。 Ardipithecus ramidus(ラミダス猿人)は、ミドルアワシュ(エチオピア)で化石が発見された440万年前の初期のヒト族だ。今回、R GaniとN Ganiは、ラミダス猿人の居住地について研究し、その居住地に大きな川と河岸植生があったとするデータの解釈を示している。その結果、ラミダス猿人は、サバンナ地域の河岸に居住していたことになる。ラミダス猿人の居住地を解明することは、初期人類の進化に関する諸説を評価するうえで役立つと考えられる。



参考文献:
Gani MR, and Gani ND.(2011): River-margin habitat of Ardipithecus ramidus at Aramis, Ethiopia 4.4 million years ago. Nature Communications, 2, 602.
https://doi.org/10.1038/ncomms1610

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