テーマ:古人類学

河野礼子「猿人とはどんな人類だったのか 最古の人類」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。本論文はまず、「猿人」について定義します。霊長類で人類の身体的独自性を3点に集約すると、直立二足歩行に適した全身、拡大した脳、縮小した犬歯となり、「猿人」を簡単に言うと、脳が拡大していない人類となります。また、現代人も含まれるホモ属とは別属に分…
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シベリアにおけるイヌの進化

 シベリアにおけるイヌの進化に関する研究(Feuerborn et al., 2021)が公表されました。北極圏シベリアのジョホフ(Zhokhov)島の早期の考古学およびゲノムの証拠から、異なる系統に分類されるイヌが9500年以上にわたって北極圏の生活では不可欠な構成要素だった、と示唆されます。人々とイヌとの間のこの緊密なつながりは、コ…
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佐藤弘夫『日本人と神』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2021年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者の以前の一般向け著書『「神国」日本 記紀から中世、そしてナショナリズムへ』にたいへん感銘を受けたので(関連記事)、本書はまず、日本列島におけるあらゆる宗教現象を神と仏の二要素に還元する「神仏習合」で読み解くことはできず、それは近代的思考の偏…
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同性間の性行動の進化的要因

 同性間の性行動の進化的要因に関する研究(Nyakatura et al., 2021)が公表されました。この研究は、イギリスとアメリカ合衆国の477522人を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)において、同性間性行動に関する遺伝効果を、過去に同性との性行為の経験のない場合と比較して解析しました。またこの研究は、これら2ヶ国の35…
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ニュージーランドにおける人類の移住の影響

 ニュージーランドにおける人類の移住の影響エピに関する研究(McConnell et al., 2021)が公表されました。ニュージーランドは、人類が定着した地球上の最後の居住可能な場所の一つとされており、人類の定住が始まった年代は13世紀後半と推測されています(関連記事)。木炭記録は、人類の定着前には山火事がほとんどなく、13~14世…
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言語と遺伝子の関係

 言語と遺伝子の関係についての見解(Greenhill., 2021)が公表されました。ダーウィン(Charles Robert Darwin)の『種の起源』以来、言語学者と遺伝学者は暗にもしくは明示的に言語を遺伝学と結びつけてきました。最近の研究(以下、松前論文)は、さまざまな一連の証拠が、過去について同様の物語を一貫して示すのかどう…
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ヨーロッパ南東部前期青銅器時代における親族構造と社会的地位の相続

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、ヨーロッパ南東部前期青銅器時代における親族構造と社会的地位の相続に関する研究(Žegarac et al., 2021)が公表されました。最近当ブログで取り上げた、新石器時代と青銅器時代のクロアチアにおける人口史と社会構造に関する研究(関連記事)に本論文が引用されており、興味深い内容のように思われた…
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縄文時代の人類のゲノム解析まとめ

 縄文時代の人類の核ゲノム解析数も次第に増えてきたため、私が把握している分を以下の図で一度まとめます。年代は基本的に直接的な放射性炭素年代測定法による較正年代です。mtHgはミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプログループ、YHgはY染色体ハプログループです。なお、福島県相馬郡新地町の三貫地貝塚の3000年前頃の縄文時代個体(Kanza…
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ハンガリーのアールパード朝のベーラ3世のDNA解析

 ハンガリーのアールパード(Árpád)朝のベーラ(Bela)3世のDNA解析に関する研究(Wang et al., 2021)が公表されました。現代ヨーロッパ人の大半はインド・ヨーロッパ語族の言語を話していますが、その起源と拡散はひじょうによく議論されてきた主題です。インド・ヨーロッパ語族の根源を年代測定するために適用されたベイズ法は…
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過去10年の古代ゲノム研究

 過去10年の古代ゲノム研究の総説(Liu et al., 2021)が公表されました。本論文は、ひじょうに進展の速いこの分野の過去10年の主要な研究を簡潔に紹介しており、近年の古代ゲノム研究を把握するのにたいへん有益だと思います。2001年にヒトゲノムの概要配列が公開され、分子の観点からのヒト生物学と進化理解向上が約束されました。20…
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古代ゲノムデータに基づくエトルリア人の起源と後世への影響

 エトルリア人の起源と後世への影響に関する研究(Posth et al., 2021)が公表されました。エトルリア文化(本論文では「civilization」が用いられていますが、以前の記事で述べたように、当ブログでは基本的に「文明」を用いないことにしていますので、以下訳語は「文化」で統一します)は鉄器時代にイタリア半島中央部の広範な地…
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2万年以上前の北アメリカ大陸の人類の足跡(追記有)

 2万年以上前の北アメリカ大陸の人類の足跡を報告した研究(Bennett et al., 2021)が報道されました。日本語の解説記事もあります。アメリカ大陸への人類集団の後期更新世の拡大は、現生人類(Homo sapiens)の「出アフリカ」移住の最終章です。アメリカ大陸への拡散と居住の最古の証拠については、まだ議論が続いています。そ…
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ホモ・ルゾネンシスとホモ・フロレシエンシスの起源

 人間進化研究ヨーロッパ協会第11回総会で、ホモ・ルゾネンシス(Homo luzonensis)の歯に関する研究(Zanolli et al., 2021)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P134)。ホモ・ルゾネンシスは、フィリピンのルソン島北部のカラオ洞窟(Callao Cave)で発見された、一連の歯と頭…
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オホーツク文化人のゲノム解析とアイヌ集団の形成過程

 オホーツク文化人のゲノム解析結果を報告した研究(Sato et al., 2021)が公表されました。古代ゲノム学は、過去の人口史の遺伝的特徴の片鱗を捉えることのできる強力な手法です。最近の古代ゲノム研究は多くのアジアの旧石器時代人と新石器時代人のゲノムを報告しており、ユーラシア東部におけるヒトの移住過程への新たな洞察を提供してきまし…
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黒竜江省で発見された中期更新世のホモ属頭蓋

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、黒竜江省で発見された中期更新世のホモ属頭蓋に関する二つの研究と総説(Ji et al., 2021)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。総説では、黒竜江省で発見された中期更新世のホモ属頭蓋についての概略が解説されています。以下、総説を参照しつつ、二つの研究をざっと見てい…
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齋藤慈子「霊長類の子育」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収のコラムです。霊長類は同じ体サイズの哺乳類と比較して生活史がゆっくりとしており、成長度が遅く、子供期と性成熟に達するまでの期間が長く、成長してからの繁殖速度が遅く、妊娠期間が長く、寿命が長い、という特徴があります。哺乳類に含まれる霊長類では授乳という世話と子育…
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過去40万年間のアラビア半島への人類の複数回の移動

 過去40万年間のアラビア半島への人類の複数回の移動に関する研究(Groucutt et al., 2021)が公表されました。アフリカとユーラシアとの間の唯一の陸橋として、アジア南西部はヒト進化と地球上の移住の重要な段階を理解するのに特有の位置を占めています。サハラ・アラビアと旧北区の生物群系間の移行する境界における環境的および生態学…
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縄文時代と古墳時代の人類の新たなゲノムデータ

 縄文時代と古墳時代の人類の新たなゲノムデータを報告した研究(Cooke et al., 2021)が報道されました。日本列島には、少なくとも過去38000年間ヒトが居住してきました。しかし、その最も劇的な文化的変化は過去3000年以内にのみ起き、その間に住民は急速に狩猟採集から広範な稲作、さらには技術的に発展した「帝国」へと移行しまし…
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上峯篤史「存否問題のムコウ」

 本論文はまず、2000年11月5日に発覚した旧石器捏造事件の影響もあり、日本列島における4万年以上前の人類の存在に慎重な意見も少なくないなか(関連記事)、日本列島には4万年以上前に人類が存在したと断定し、そもそも4万年以上前の遺跡の存否問題はずいぶん前に決着している、と指摘します。その根拠は岩手県遠野市の金取遺跡で、第III文化層から…
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和歌山県田辺市の磯間岩陰遺跡出土人骨のDNA分析

 本論文(安達他.,2021)は清家章編『磯間岩陰遺跡の研究分析・考察』に所収されており、PDFファイルで公開されています(P105-118)。本論文は、和歌山県田辺市の磯間岩陰遺跡で発見された人骨のDNA解析結果を報告しています。磯間岩陰遺跡では保存状態のきわめて良好な12個体の人骨が発見されています。本論文は、これらの個体のミトコン…
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コーカサス現代人の起源とその移動経路

 コーカサス現代人の起源とその移動経路に関する研究(Gavashelishvili et al., 2021)が公表されました。コーカサスはヨーロッパとアジア、黒海とカスピ海の境界線上にある山岳地帯です。コーカサスでは、地理的範囲が比較的小さく、ほぼ温暖な気候にも関わらず、自然景観や動植物種や栽培家畜品種の多様性はひじょうに高くなってい…
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中川和哉「朝鮮半島南部の石器群から見た日本の前・中期旧石器」

 2000年11月5日に発覚した旧石器捏造事件(関連記事)は、考古学のみならず日本社会に大きな衝撃をもたらしました。捏造石器と日本列島に隣接する地域の後期旧石器以前の石器群との明らかな違いにも関わらず、明確に古い地層から出土する石器を根拠に、日本列島には極東地域とは変容した文化がある、と考えられました。問題を複雑にしたのは、放射性炭素年…
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中期更新世の火の使用と人類集団間の文化的拡散

 中期更新世の火の使用の時空間的パターンから当時の人類集団間の関係を検証した研究(MacDonald et al., 2021)が公表されました。維持と火熾しの強化を含めた火との相互作用は、一般的に人類の文化的進化の中で最重要過程と考えられています。火は捕食者と寒さから人類を保護し、利用可能な食料の範囲と、調理を通じて食料から得られるエ…
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長井謙治「日本列島最古級の石器技術を考える」

 本論文はまず、紅村弘氏の研究を参照します。紅村氏は、「截断(剥離)技法」という独自性の高いアイデアを提示していました。紅村氏は、愛知県加生沢遺跡の石核について、立位複方向剥離石核と称する垂直方向の剥離が交差する立磐状の石核の存在を指摘し、これをバイポーラー・テクニックや円盤型石核技術とは異なる極東アジア的な剥片剥離法と示しました。紅村…
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呉汝康「中国古人類学30年」

 中華人民共和国における古人類学の発展に関する概説(呉., 1981)を読みました。40年前の論文なので、もちろん現時点では更新された情報が多く、基本的に個別の事例は取り上げませんが、最近言及した中国における人類進化認識(関連記事)との関連で取り上げます。個別の事例を一つだけ取り上げると、ギガントピテクスについて本論文は、「絶滅枝の一つ…
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藤田祐樹「サピエンス以前の人類の島への分布を考える」

 本論文はまず、インドネシア領フローレス島のホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)やルソン島のホモ・ルゾネンシス(Homo luzonensis)やシベリア南部およびチベットの種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)など、相次いで新たな分類群の人類が発見されたことから、アジアの更新世人類史が従来の想…
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中村美知夫「ヒト以外の霊長類の行動と社会 ヒトを相対化する」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。本書は、第1部「人類進化の歩み」が第1章~第4章、第2部「ヒトのゲノム科学」が第5章~第8章、第3部「生きているヒト」が第9章~第12章、第4部「文化と人間 文理の境界領域」が第13章~第15章で構成されています。本書を1本の記事にまとめるとひじょ…
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ユーラシア東部の現生人類史とY染色体ハプログループ

 当ブログでは2019年に、Y染色体ハプログループ(YHg)と日本人や皇族に関する複数の記事を掲載しました。現代日本人のYHg-Dの起源(関連記事)、「縄文人」とアイヌ・琉球・「本土」集団との関係(関連記事)、天皇のY染色体ハプログループ(関連記事)と、共通する問題を扱っており似たような内容で、じっさい最初の記事以外は流用も多く手抜きで…
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新石器時代と青銅器時代のクロアチアにおける人口史と社会構造

 新石器時代と青銅器時代の現在のクロアチアにおける人口史と社会構造エピに関する研究(Freilich et al., 2021)が公表されました。ヨーロッパ南東部のクロアチアは、連続した生態地域の多様な景観を有しており、東部のアドリア海沿岸と北部の温暖なパンノニア平原を隔てる嶮しい山々があります。クロアチアはヨーロッパ中央部とバルカン半…
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現生人類の出アフリカを可能とする気候条件

 現生人類(Homo sapiens)の出アフリカを可能とする気候条件についての研究(Beyer et al., 2021)が公表されました。化石と遺伝的証拠の分析は、現生人類のアフリカ起源の強い裏づけを提供しますが、アフリカからの現生人類拡大の年代が最近の議論の焦点となっています(関連記事)。ほとんどのアフリカ外の化石、およびミトコン…
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