テーマ:アフロユーラシア史前近代

池上英洋『血みどろの西洋史 狂気の1000年』

 光文社新書の一冊として、光文社より2007年11月に刊行されました。本書はまず、ヨーロッパには『ヨーロッパの歴史』という共通教科書があり、ヨーロッパの相互の利害関係を排除した中立的視点で歴史を把握しようとしているものの、ヨーロッパをあまりにも美化していることが決定的欠陥である、と指摘します。このヨーロッパ共通教科書は、日本語版で400…
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チベット高原の古代人のmtDNA解析

 チベット高原の古代人のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Ding et al., 2020)が公表されました。チベット高原は平均海抜4000mと、世界でも最高かつ最大の高原です。アジア東部高地における人類集団の継続性は少なくとも3000年続いている、と推測されています(関連記事)。しかし、比較のためのチベット高…
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中国南北沿岸部の新石器時代個体群のゲノムデータ

 中国南北沿岸部の新石器時代個体群のゲノムデータに関する研究(Yang et al., 2020)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。日本語の解説記事もあります。この研究はオンライン版での先行公開となります。中国・モンゴル・朝鮮半島および日本列島など近隣の島々で構成されるアジア東部には、世界の人口のほ…
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丸橋充拓『シリーズ中国の歴史2 江南の発展 南宋まで』第2刷

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2020年2月に刊行されました。第1刷の刊行は2020年1月です。本書はおもに江南を対象に、新石器時代から南宋の滅亡までを取り上げています。江南は華北で形成されていった「中華世界」の視点からは、当初外縁的な位置づけでした。それが、前漢後期から後漢前半にかけて成立していった「古典国制」に江南も次…
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中国河南省の新石器時代遺跡におけるコイの養殖

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、中国河南省の新石器時代遺跡におけるコイの養殖に関する研究(Nakajima et al., 2019)が報道されました。水産養殖は現代世界で最も急速に成長している食料生産体系で、今では人類の消費する魚の約半分を提供しています。しかし、その重要性にも関わらず、魚の養殖の起源はほとんど知られていません。…
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中期新石器時代~前期青銅器時代のスイスの人口史

 中期新石器時代~前期青銅器時代のスイスの人口史に関する研究(Furtwängler et al., 2020)が報道されました。遺伝学的研究により、新石器時代のヨーロッパ中央部の人々は遺伝的に、先住のヨーロッパ狩猟採集民と、アナトリア半島西部早期農耕と関連した系統を有する新たに侵入してきた人々との混合だった、と明らかにされてきました。…
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古代ゲノムデータに基づくアジア東部における現生人類集団の形成史

 古代ゲノムデータに基づくアジア東部における現生人類(Homo sapiens)集団の形成史に関する研究(Wang et al., 2020)が公表されました。本論文は査読前なので、あるいは今後かなり修正されるかもしれませんが、ひじょうに興味深い内容なので取り上げます。世界でも農耕・牧畜が早期に始まった地域であるアジア東部には、現在世界…
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完新世ヨーロッパにおけるヒトの拡大と景観の変化との関連

 完新世ヨーロッパにおけるヒトの拡大と景観の変化との関連についての研究(Racimo et al., 2020)が報道されました。8500年前頃まで、ヨーロッパはおもに比較的低密度で暮らす狩猟採集民集団で占められていました。このヨーロッパの人口構造は、新石器時代にアナトリア半島から農耕民が到来したことで変わりました。第二のヨーロッパにお…
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渡辺信一郎『シリーズ中国の歴史1 中華の成立 唐代まで』第2刷

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年11月に刊行されました。第1刷の刊行は2019年11月です。『シリーズ中国の歴史』の特色は、単純な時代区分による通史になっていないことです。本書は新石器時代から安史の乱までを扱っていますが、主要な対象は中原で、江南への言及は少なくなっています。江南は第2巻で扱われるそうですが、こちら…
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アハルテケの起源

 トルクメニスタン原産の馬とされるアハルテケの起源について、2020年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)で報告されました(Zhu., 2020)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P319)。この研究は、中華人民共和国新疆(Xinjiang)ウイグル自治区石河子(Shihezi)市十戸窯(Shihuyao)村の墓で発見された…
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ヨーロッパ東部における後期新石器時代の漸進的な遺伝的混合

 ヨーロッパ東部における後期新石器時代の漸進的な遺伝的混合に関する研究(Immel et al., 2020)が公表されました。ヨーロッパ東部の考古学的記録では、農耕生活様式の最初の証拠は紀元前六千年紀に現れ、その頃に、たとえば紀元前5400~紀元前4900年頃となる線形陶器文化(Linear Pottery、Linearbandker…
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地中海西部諸島における新石器時代以降の人口史

 地中海西部諸島における新石器時代以降の人口史に関する研究(Fernandes et al., 2020)が報道されました。紀元前3000年頃、ポントス-カスピ海草原(中央ユーラシア西北部から東ヨーロッパ南部までの草原地帯)を起源とする人々が西進し始め、ヨーロッパ中央部の在来農耕民と交雑し、縄目文土器(Corded Ware)文化集団の…
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中期新石器時代から現代のサルデーニャ島の人口史

 中期新石器時代から現代のサルデーニャ島の人口史に関する研究(Marcus et al., 2020)が報道されました。サルデーニャ島は、100歳以上の割合が高く、βサラセミアやグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症のような自己免疫疾患や病気の割合が平均よりも高いため、病気や加齢に関連する可能性のある遺伝的多様体を発見するた…
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ニワトリではなく飼育していたキジを消費していた中国北西部の初期農耕民

 中国北西部の初期農耕民によるニワトリではなく飼育していたキジの消費を報告した研究(Barton et al., 2020)が公表されました。現在では、農耕・牧畜(植物の栽培化・動物の家畜化)は、年代は異なりつつも世界の複数の地域で独自に始まり、周辺地域に拡散していった、と考えられており、この問題に関しては2014年の総説的論文が今でも…
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早期新石器時代ピレネー山脈における虐殺

 早期新石器時代ピレネー山脈における虐殺に関する研究(Alt et al., 2020)が公表されました。中期~後期更新世にはヒトは基本的に狩猟採集民でしたが、平等主義の倫理のため本質的には善良で平和的だった、という考えがかつては浸透していました。この仮説では、12000年前頃の農耕開始以後(もちろん、地域により農耕開始年代は異なります…
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中国の紀元前の陵墓で発見された絶滅テナガザル

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、中国の陵墓で発見された絶滅テナガザルに関する研究(Turvey et al., 2018)が公表されました。日本語の解説記事もあります。この研究は、中華人民共和国陝西省西安市長安区にある2300~2200年前頃の陵墓で発見されたテナガザルについて報告しています。この陵墓には、秦の孝文王の側室…
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ピャスト朝の遺伝的調査

 ポーランドのピャスト朝の遺伝的調査に関して報道されました。この研究では、ピャスト家の人々の遺伝子を調べ、王家の起源や個体間の血縁関係、さらには健康や外見も明らかにしようとしています。当初、ポーランド全土と他地域から、500人の被葬者がピャスト家の構成員の候補とされたそうです。しかし、ほとんどの場合、墓が破壊されていたか、遺骨が後世のも…
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中世バスク地方で見られる寒冷期におけるミトコンドリアへの選択圧とトレードオフ

 中世バスク地方におけるミトコンドリアへの選択圧とトレードオフに関する研究(Laza et al., 2019)が公表されました。エネルギーを生成し活性酸素を生産するミトコンドリアの機能障害は、神経変性疾患や代謝性疾患やリウマチ性病変や加齢および癌と関連する過程など、いくつかのヒト疾患の発症に影響を与えているかもしれない、とさまざまな証…
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渡邉義浩『はじめての三国志 時代の変革者・曹操から読みとく』

 ちくまプリマー新書の一冊として、筑摩書房から2019年11月に刊行されました。著者は現在、早稲田佐賀中学・高校の理事長とのことで、本書は『三国志』に興味を抱いた中高生向けに書かれたそうです。確かに、全体的に平易な文章になっており、分かりやすく解説しよう、という意図は伝わってきます。ただ、「はじめての三国志」と題している割には、官渡の戦…
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古代人が噛んだカバノキの樹脂に含まれる遺伝的情報(追記有)

 古代人が噛んだカバノキ(Betula pendula)の樹脂に含まれる遺伝的情報についての研究(Jensen et al., 2019)が報道されました。カバノキの樹脂は樹皮を加熱することで得られる暗褐色の物質で、中期更新世(76万~126000年前頃)以降、接着剤として用いられてきました。カバノキの樹脂はスカンジナビア半島の遺跡で一…
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スコットランド人の遺伝的構造

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、スコットランド人の遺伝的構造に関する研究(Gilbert et al., 2019)が報道されました。ブリテン島とアイルランド島およびその周辺の島々では、移住と侵略により現代人集団が形成されてきました。ブリテン島に人類が移住してきたのは更新世で、完新世になると、紀元前4000~紀元前3000年頃に農…
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中国「教授拘束事件」の意味…内外の研究者に及ぶ管理・統制(追記有)

 表題の記事が公開されました。先々月(2019年9月)、中国で日本の国立大学教授が拘束された事件については当ブログでも言及しましたが(関連記事)、川島真氏の表題の記事は、この事件が深刻な意味を有するものである可能性を指摘しており、たいへん注目されます。この事件が「衝撃」だった理由として、川島氏は経緯・専門・準公務員とも言うべき国立大教授…
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中世カトリック教会による西洋工業化社会への心理的影響

 中世カトリック教会による西洋工業化社会への心理的影響に関する研究(Schulz et al., 2019)が公表されました。日本語の解説記事もあります。世界の人々の間には、心理的な信念や行動に大きなばらつきがあります。特に、西洋の工業国における個人主義は独特です。これまでの研究により、最近では「Western, Educated, I…
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長期にわたるローマ住民の遺伝的構成の変遷

 長期にわたるローマ住民の遺伝的構成の変遷に関する研究(Antonio et al., 2019)が報道されました。日本語の解説記事もあります。紀元前8世紀、ローマはイタリア半島の多くの都市国家の一つでした。1000年も経たないうちに、ローマは地中海全域を中心とする古代世界最大の帝国の首都となる大都市に成長しました。イタリア半島の一部と…
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チャタルヒュユク遺跡の被葬者のmtDNA解析

 チャタルヒュユク(Çatalhöyük)遺跡の被葬者のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Chyleński et al., 2019)が公表されました。アナトリア半島中央部南方にあるチャタルヒュユクは新石器時代の有名な遺跡で、世界最古の都市とも言われています。その年代は紀元前7100~紀元前5950年頃です。チ…
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浅野裕一『儒教 怨念と復讐の宗教』

 講談社学術文庫の一冊として、2017年8月に講談社より刊行されました。本書の親本『儒教 ルサンチマンの宗教』は平凡社新書の一冊として1999年5月に平凡社より刊行されました。本書は儒教の開祖とも言うべき孔子を、怨念と復讐に囚われた誇大妄想の人物と指摘します。孔子は、有徳の聖人こそが受命して天下を統治するという徳治主義を主張し、自らを周…
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ドイツ南部の青銅器時代の社会構造(追記有)

 ドイツ南部の青銅器時代の社会構造に関する研究(Mittnik et al., 2019)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。日本語の解説記事もあります。古代DNA研究により、ヨーロッパ中央部における先史時代の遺伝的変化が明らかにされてきました(関連記事)…
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ヤグノブ人の遺伝的歴史

 ヤグノブ人(Yaghnobis)の遺伝的歴史に関する研究(Cilli et al., 2019)が公表されました。アジア中央部は長きにわたって人類集団・遺伝子・言語・文化・商品の重要な経路・交差点となってきました。アジア中央部の歴史は、異なる人類集団の大規模な移動により特徴づけられ、最終氷期極大期(LGM)後に活発化し、新石器時代と青…
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中国のフェイ人(回族)の遺伝的起源

 中国のフェイ人(Hui)の遺伝的起源に関する研究(Wang et al., 2019B)が公表されました。フェイ人(回族)おもにイスラム教徒により構成され、中国全土に分布しており、中国において公認された56の民族集団の一つです。フェイ人の起源と多様化については、大規模な人類集団の移動を伴うものなのか、それとも単純な文化伝播だったのか、…
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スカンジナビア半島の戦斧文化集団の遺伝的起源

 スカンジナビア半島の戦斧文化(Battle Axe Culture、BAC)集団の遺伝的起源に関する研究(Malmström et al., 2019)が報道されました。まず、本論文で取り上げられるおもな文化の略称を先に記載しておきます。戦斧文化(Battle Axe Culture、BAC)、縄目文土器文化(Corded Ware …
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