テーマ:日本史近現代

筒井清忠『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2018年1月に刊行されました。日本も含めて世界では近年話題のポピュリズムですが、本書は、第二次世界大戦終結前の日本においてもすでにポピュリズムが見られる、と指摘し、その内実・変遷を検証しています。本書が日本におけるポピュリズムの始まりとしているのが、1905年の日比谷焼き打ち事件です。それまでの…
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敗戦と司馬史観(追記有)

 何かの記念日に毎年同じ話題を書くのも芸がないと思い、これまで8月15日に戦争関連の話題に言及したのは、ブログを始めた2006年だけだったのですが(関連記事)、たまには戦争関連の記事を掲載してみます。私は中学生の頃から二十代前半の頃まで、具体的には1985~1994年頃まで、小説だけではなく随筆も含めて、司馬遼太郎作品の熱心な愛読者でし…
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筒井清忠編『明治史講義 【人物篇】』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2018年3月に刊行されました。本書は小林和幸編『明治史講義 【テーマ篇】』(関連記事)の続編というか、対となる1冊だと言えるでしょう。以下、本書で提示された興味深い見解について備忘録的に述べていきます。 第1講●落合弘樹「木戸孝允─「条理」を貫いた革命政治家」P15~30  孝明天皇は…
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忘れ去られた?藤波孝生氏

 『ネット右翼は自民党ではなく、結局「この組織」を支持していた』と題する記事が公開されました。論旨に大きく影響はしない、些細なことかもしれませんが、その記事には基礎的な事実に間違いがあり、微妙な印象を受けました。まず、「国会に於いては1970年代からの自民・社会党の議席の伯仲」との記述ですが、社会党は1960年代と比較して1970年代に…
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小林和幸編『明治史講義 【テーマ篇】』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2018年3月に刊行されました。以下、本書で提示された興味深い見解について備忘録的に述べていきます。 第1講●久住真也「開国と尊王攘夷─国是の模索」P11~28  日米和親条約は天保の薪水給与令の拡張的な性格も有しており、これにより「鎖国」が放棄されたわけではない、との解釈も可能だと指摘…
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木村光彦『日本統治下の朝鮮 統計と実証研究は何を語るか』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2018年4月に刊行されました。本書は経済問題に限定して、日本の朝鮮半島支配を実証的に検証しようとしています。著者はかつて、韓国の高校生向け教育番組において、朝鮮における日本の支配は世界の植民地支配のなかで最悪だった、との見解が受け入れられている様子であることに疑問を抱き、それが本書の執筆動機にな…
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家近良樹『西郷隆盛 維新150年目の真実』

 これは12月17日分の記事として掲載しておきます。NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2017年11月に刊行されました。来年(2018年)の大河ドラマ『西郷どん』の主役である西郷隆盛について予習しておこうと思い、読んでみました。著者は、ミネルヴァ日本評伝選で本格的な西郷隆盛の伝記を著しており、そちらを読むべきなのでしょうが、今は…
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筒井清忠編『昭和史講義3─リーダーを通して見る戦争への道』

 これは7月30日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2017年7月に刊行されました。筒井清忠編『昭和史講義─最新研究で見る戦争への道』(関連記事)と筒井清忠編『昭和史講義2─専門研究者が見る戦争への道』(関連記事)の続編となります。両書ともに好評だったのか、続編が刊行されたのは喜ばしいことです。編者によ…
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三谷太一郎『日本の近代とは何であったか 問題史的考察』

 これは7月23日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2017年3月に刊行されました。本書はおもに政治・経済的観点からの日本近代史総論となっています。具体的には、政党政治の成立・資本主義の形成・植民地帝国の形成・天皇制の確立という観点から日本近代史が考察されています。あるいは、個々の具体的な解説に関…
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古川隆久『昭和天皇 「理性の君主」の孤独』第5版第2刷

 これは11月18日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年2月に刊行されました。初版の刊行は2011年4月です。本書は新書としてはかなりの大部となり、即位前と第二次世界大戦の敗戦後にも1章ずつ割きつつ、5章構成で昭和天皇の生涯を叙述します。副題にもあるように、本書は昭和天皇を孤独な理性の君主とし…
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吉田裕『昭和天皇の終戦史』第5刷

 これは11月15日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より1993年12月に刊行されました。第1刷の刊行は1992年12月です。昭和天皇についての研究は本書刊行後にかなり進展しているでしょうから、もっと適当な一般向け書籍があるのではないか、とも思ったのですが、古書店で安い値段にて売られていたので、購入…
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服部龍二『田中角栄 昭和の光と闇』

 これは11月12日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社より2016年9月に刊行されました。近年、田中角栄への注目が高まっているようで、バブル崩壊後、長期にわたって経済の低迷が続くなか、高度経済成長期を象徴する政治家の一人である田中への郷愁が強くなっているためかもしれません。本書は研究者による田中の伝記とい…
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麻田雅文『シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争』

 これは10月14日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年9月に刊行されました。副題に「近代日本の忘れられた七年戦争」とあるように、シベリア出兵への一般的な関心は、たとえば、同じく近代の戦争である日清戦争や日露戦争や日中戦争や太平洋戦争と比較して、低いように思われます。不勉強な私も、やはりシベリ…
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古川隆久『人物叢書(新装版) 近衛文麿』

 これは10月1日分の記事として掲載しておきます。人物叢書の一冊として、吉川弘文館より2015年9月に刊行されました。本書は、歴代の首相のなかでも一般的な評価では最下位の有力候補であろう近衛文麿の伝記です。近衛は定見のないポピュリストで優柔不断とも言われますが、本書の評価は異なり、若い頃から思想的にも手法的にも一貫性が強かった、と指摘し…
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井上寿一『終戦後史 1945-1955』

 これは9月21日分の記事として掲載しておきます。講談社選書メチエの一冊として、講談社より2015年7月に刊行されました。本書は、現代の日本の原型が形成された期間として1945~1955年を取り上げています。本書はその期間における戦前と戦後の連続と断絶の問題を検証しています。本書はまた、この時期には日本が現代とは異なる社会になった可能性…
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伊藤之雄『元老 近代日本の真の指導者たち』

 これは9月18日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。本書は元老からの視点の近代日本政治史となっています。新書ということで、もちろん一般向けであり、著者もそのように工夫して執筆していることが窺えますが、一方で、研究者にも読みごたえのある本にしようとした、との意図も語られて…
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古川隆久『昭和史』第2刷

 これは9月14日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2016年5月に刊行されました。第1刷の刊行は2016年5月です。本書の特徴は、著者の専門分野に重点が置かれているのではなく、幅広い分野が取り上げられていることです。著者の専門分野に重点を置いた通史は学問的良心と言えるかもしれませんが、新書での通史とな…
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筒井清忠編『昭和史講義2─専門研究者が見る戦争への道』

 これは9月4日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2016年7月に刊行されました。筒井清忠編『昭和史講義─最新研究で見る戦争への道』(関連記事)の続編となります。『昭和史講義─最新研究で見る戦争への道』は好評だったとのことで、続編が刊行されたのは喜ばしいことです。本書もたいへん有益だったので、好評を博す…
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筒井清忠編『昭和史講義─最新研究で見る戦争への道』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2015年7月に刊行されました。現代日本社会において昭和史への関心は高く、毎年多くの一般向け書籍が刊行されています。しかし、そうした書籍のなかには、現在の研究水準では否定されている見解がいまだに提示されているなど、問題のあるものも多いので、第一線の研究者たちによる一般向けの昭和史を企画した、とのこと…
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伊藤之雄『伊藤博文 近代日本を創った男』

 講談社学術文庫の一冊として、講談社より2015年3月に刊行されました。本書は、2009年に講談社より刊行された同名書を原本としています。本書を読んで改めて、伊藤博文の生涯をたどることは、明治時代の政治史の要点を抑えることでもあるのだな、と思ったものです。伊藤の伝記なので、当然のことながら伊藤視点の叙述なのですが、私のような門外漢にとっ…
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坂野潤治『日本近代史』第10刷

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2013年2月に刊行されました。第1刷の刊行は2012年3月です。本書は、1857年~1937年の80年間を対象とし、日本における近代国家の形成と展開を論じています。新書としてはかなり分厚く、読みごたえがありました。本書の特徴は、日本近代史を6段階に区分していることです。改革期(公武合体、1857年…
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佐々木克『幕末史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2014年11月に刊行されました。本書は第1章~第5章にかけていわゆる幕末史(ペリー来航から王政復古まで)を、第6章で明治時代前半(大日本帝国憲法の発布まで)を扱っており、新書としてはかなりの分厚さになっています。本書は基本的に政治史を扱っており、経済史への言及はきわめて少なく、文化史・思想史への言…
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服部龍二『日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦』第3版

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2012年1月に刊行されました。初版の刊行は2011年5月です。本書は、田中角栄・大平正芳・外務省の動向を中心に、国内の政治情勢と国際情勢を踏まえつつ、日中共同声明へといたる日中の交渉を検証しています。よく言われることですが、外交問題には内政問題としての側面が多分にあります。本書もそうした側面を協…
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筒井清忠『敗者の日本史19 二・二六事件と青年将校』

 『敗者の日本史』全20巻の第19巻として、2014年8月に吉川弘文館より刊行されました。本書は、現在の研究水準での一般向け解説を強く意識しているように思います。そのため本書は、二・二六事件の研究史にも言及しています。本書は、二・二六事件の背景として、日本社会の動向(第一次世界大戦後の不景気・関東大震災・昭和恐慌などによる農村の窮乏と格…
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田嶋信雄「日本から見たドイツの戦争」

 2013年「回顧と展望」日本・近現代 http://sicambre.at.webry.info/201409/article_3.html で取り上げた論文です。初出は『平成21年度戦争史研究国際フォーラム報告書』です。 http://www.nids.go.jp/event/forum/pdf/2010/04.pdf …
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2013年「回顧と展望」日本・近現代

和田健一「近世庶民教育と筆子塚」『群馬文化』315 湯川文彦「明治10年代における教育事務の再編」『日本の教育史学』56 松田宏一郎「福沢諭吉と明治国家」『日本思想史講座』第4巻(ぺりかん社) 小林道彦「児玉源太郎と統帥権改革」『日本政治史のなかの陸海軍』(ミネルヴァ書房) 黒沢文貴「大正・昭和期における陸軍官僚…
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井上寿一『第一次世界大戦と日本』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2014年6月に刊行されました。本書は、第一次世界大戦が日本に及ぼした影響と、その前後の期間の日本の変容について、外交・軍事・政治・経済・社会・文化の観点から解説しています。最初に本書は、日本では第一次世界大戦の当事者意識が乏しい、と指摘しています。これはもっともな指摘ですが、国内が戦場になったわ…
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社会学と生物学

 昨日このブログにて取り上げた高橋征仁「遺伝子共同体としての家族―マルクス主義フェミニズムからダーウィニアン・フェミニズムへの道」にはたいへん興味深い指摘が色々とあり、昨日の記事では取り上げきれなかった問題もあるので、少し補足しておきます。高橋論文では安藤寿康『遺伝子の不都合な真実─すべての能力は遺伝である』(関連記事)も引用されていま…
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高橋征仁「遺伝子共同体としての家族―マルクス主義フェミニズムからダーウィニアン・フェミニズムへの道」

 表題の論文を(高橋.,2013)読みました。ひじょうに興味深い論文で、納得できるところが多々ありました。本論文が社会学の研究者の間でどのように受け止められたのか、社会学に疎い私にはよく分かりませんが、社会学の研究者と会話をする機会があれば、尋ねてみたいものです。社会学に疎い私でも、進化学関連で色々と情報を収集していると、社会学の側に生…
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井上寿一『山県有朋と明治国家』

 NHKブックスの一冊として、2010年12月に日本放送出版協会から刊行されました。伊藤之雄『山県有朋 愚直な権力者の生涯』(関連記事)との対比という観点からも読んでみました。本書は、『山県有朋 愚直な権力者の生涯』と比較して、個人の伝記というよりも、山県有朋を近代史に位置づけ、近代史像を提示するという性格が強くなっています。この本書の…
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