兵頭裕己『後醍醐天皇』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店から2018年4月に刊行されました。本書は、同時代から現代まで評価の分かれる後醍醐天皇について、それらの評価を踏まえて統一的に理解しようとしています。本書は後醍醐の伝記というだけではなく、後醍醐とその治世がどのように評価されてきたのか、その評価が後世にいかなる政治思想的影響を及ぼしたのか、という観… トラックバック:0 コメント:0 2018年06月17日 続きを読むread more
呉座勇一『陰謀の日本中世史』 角川新書の一冊として、KADOKAWAから2018年3月に刊行されました。本書は日本中世史におけるさまざまな陰謀論的見解を取り上げ、そうした見解のどこに問題があるのか、解説していきます。本書が対象としているのは保元の乱から関ケ原の戦いまでとなります。本書は、まず史実というか通説を簡潔に叙述し、その後に陰謀論的見解を紹介し、その問題点と… トラックバック:1 コメント:2 2018年04月01日 続きを読むread more
服部英雄『蒙古襲来と神風 中世の対外戦争の真実』 これは3月11日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年11月に刊行されました。本書はモンゴル襲来(文永の役・弘安の役)を神風史観の見直しという観点から検証しています。神風史観とは、文永の役・弘安の役において神風が吹き、日本は侵略してきたモンゴル(大元ウルス)を退けることができた、というものです… トラックバック:2 コメント:0 2018年03月11日 続きを読むread more
倉本一宏『藤原氏―権力中枢の一族』 これは3月4日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年12月に刊行されました。本書は、おもに7世紀半ばの乙巳の変から鎌倉時代の五摂家(近衛・九条・一条・二条・鷹司)の分立までを、藤原氏を視点に据えて概観しています。本書のような視点の通史は珍しくないのかもしれませんが、藤原氏のうち摂関家のみならず… トラックバック:0 コメント:0 2018年03月04日 続きを読むread more
平井上総『兵農分離はあったのか』 これは10月29日分の記事として掲載しておきます。シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2017年9月に刊行されました。私はかつて兵農分離について熱心に調べていましたが、この十数年ほどは優先順位が以前ほど高くはなくなり、ほとんど勉強が進んでいません。それでも、まだ関心の高い問題なので、最新の研究成果を知る好機と思い読んでみ… トラックバック:0 コメント:0 2017年10月29日 続きを読むread more
渡邊大門編『信長研究の最前線2 まだまだ未解明な「革新者」の実像』 これは8月20日分の記事として掲載しておきます。日本史史料研究会監修で、 歴史新書の一冊として洋泉社より2017年8月に刊行されました。本書は『信長研究の最前線 ここまでわかった「革新者」の実像』の続編となります(関連記事)。本書は5部構成で、各部は複数の論考から構成されています。本書で提示された見解のなかには、すでに他の一般向け書籍… トラックバック:0 コメント:0 2017年08月20日 続きを読むread more
大石泰史編『今川氏研究の最前線 ここまでわかった「東海の大大名」の実像』 これは8月13日分の記事として掲載しておきます。日本史史料研究会監修で、歴史新書の一冊として洋泉社より2017年6月に刊行されました。本書は4部構成で、各部は複数の論考から構成されています。本書で提示された見解のなかには、すでに他の一般向け書籍で知ったものもありましたが、今川氏についてはよく知らなかったので、多くの知見を得られました思… トラックバック:0 コメント:0 2017年08月13日 続きを読むread more
亀田俊和『観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』 これは8月6日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年7月に刊行されました。都内の某大型書店で本書を購入したのですが、入荷数が多いのに驚きました。本書は刊行前よりネットで話題になっているように見えましたが、それは私の観測範囲の狭さが原因で、知名度のあまり高くない争乱だけに、刊行当初より書店に多数… トラックバック:1 コメント:0 2017年08月06日 続きを読むread more
金子拓『織田信長 不器用すぎた天下人』 これは6月25日分の記事として掲載しておきます。河出書房新社から2017年5月に刊行されました。本書は、裏切られ続けた人物との観点から信長の人物像を検証しています。信長を裏切った人物として検証の対象になっているのは、浅井長政・武田信玄・上杉謙信・毛利輝元・松永久秀・荒木村重・明智光秀です。このうち、浅井長政・武田信玄・上杉謙信・毛利輝… トラックバック:0 コメント:0 2017年06月25日 続きを読むread more
和田裕弘『織田信長の家臣団 派閥と人間関係』 これは6月18日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年2月に刊行されました。本書は織田信長の家臣団について、陪臣も含めてその地縁・血縁関係や事蹟を検証していき、信長時代の織田家特徴を家臣団の観点から浮き彫りにしています。とにかく取り上げられている人物が多く、その地縁・血縁関係にまで言及されてい… トラックバック:0 コメント:0 2017年06月18日 続きを読むread more
渡邊大門『おんな領主 井伊直虎』 これは3月12日分の記事として掲載しておきます。中経の文庫の一冊として、2016年9月にKADOKAWAより刊行されました。大河ドラマ『おんな城主 直虎』関連本としては読んだのは本書で2冊目となります。以前に読んだ関連本(関連記事)は、門外漢にはかなり奇抜な内容に思えたので、もう一冊関連本を読むことにしました。中世~近世移行期にはまっ… トラックバック:0 コメント:0 2017年03月12日 続きを読むread more
平野明夫編『家康研究の最前線 ここまでわかった「東照神君」の実像』 これは12月4日分の記事として掲載しておきます。日本史史料研究会監修で、歴史新書の一冊として洋泉社より2016年11月に刊行されました。本書は、同じく歴史新書の一冊として、一昨年(2014年)刊行された『信長研究の最前線 ここまでわかった「革新者」の実像』(関連記事)と、昨年(2015年)刊行された『秀吉研究の最前線 ここまでわかった… トラックバック:0 コメント:4 2016年12月04日 続きを読むread more
夏目琢史『井伊直虎 女領主・山の民・悪党』 これは11月30日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社から2016年10月に刊行されました。来年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』の予習になると思い、読んでみました。本書は、第一章で井伊直虎(次郎法師)の生涯と井伊氏の動向について解説し、第二章で直虎の正体というか、歴史的位置づけを解明しようと試みています。… トラックバック:1 コメント:0 2016年11月30日 続きを読むread more
美川圭『日本史リブレット人021 後三条天皇 中世の基礎を築いた君主』 これは11月27日分の記事として掲載しておきます。山川出版社から2016年9月に刊行されました。本書は、後三条天皇(尊仁親王)の出自についてやや詳しく解説しています。一般には、後三条天皇は宇多天皇以来久しぶりに藤原氏を外戚としない天皇でとされています。しかし、後三条天皇の母である禎子内親王(陽明門院)の母方祖父は藤原道長ですし、後三条… トラックバック:0 コメント:0 2016年11月27日 続きを読むread more
呉座勇一『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』 これは11月23日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年10月に刊行されました。本書の特徴としてまず挙げられるのが、応仁の乱そのものだけではなく、その前史と応仁の乱後の情勢の解説にもかなりの分量が割かれていることです。応仁の乱の前提条件と応仁の乱の影響が解説され、戦国時代への展望が提示されてお… トラックバック:0 コメント:0 2016年11月23日 続きを読むread more
神田千里『戦国と宗教』 これは10月30日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年9月に刊行されました。本書では、戦国時代における宗教の大きな役割が強調されています。戦国大名間の合戦においても宗教は重要な役割を担っており、「信仰心が薄れて合理的になった」現代日本社会との違いは大きいように見えます。しかし本書は、戦国… トラックバック:0 コメント:0 2016年10月30日 続きを読むread more
渡邊大門編『戦国史の俗説を覆す』 これは10月27日分の記事として掲載しておきます。柏書房より2016年10月に刊行されました。この十数年間、戦国時代~江戸時代初期についての勉強が停滞しており知識が古くなっていそうなので、近年の研究成果を大まかにまとめて把握できるのではないかと思い、読んでみました。本書は一般向け書籍ということで、一般層が戦国時代でとくに関心を持ちそう… トラックバック:0 コメント:0 2016年10月27日 続きを読むread more
平山優『真田信之 父の知略に勝った決断力』 これは10月23日分の記事として掲載しておきます。PHP新書の一冊として、2016年9月にPHP研究所より刊行されました。本書は真田信之(信幸)の伝記ですが、戦国時代末期~江戸時代初期という、中近世移行期の真田家の動向を詳細に知るのにも適した一冊になっています。と言いますか、信之の思惑や心情について、推測を述べることに抑制的なので、近… トラックバック:0 コメント:0 2016年10月23日 続きを読むread more
村井章介『シリーズ日本中世史4 分裂から天下統一へ』 これは8月30日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年7月に刊行されました。すでに第1巻と第2巻と第3巻はこのブログで取り上げています。本書は戦国時代~17世紀前半までを扱っています。中世から近世への移行期が対象と言えるでしょうか。本書の特徴は、「対外関係」や当時は日本に「包摂」されきって… トラックバック:0 コメント:0 2016年08月30日 続きを読むread more
榎原雅治『シリーズ日本中世史3 室町幕府と地方の社会』 これは8月28日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年5月に刊行されました。すでに第1巻と第2巻はこのブログで取り上げています。本書が扱うのは、鎌倉幕府の崩壊から明応の政変までとなります。「地方」の情勢を詳しく取り上げているのが本書の特徴ですが、「中央」の政治情勢の解説にもかなりの分量が割… トラックバック:1 コメント:0 2016年08月28日 続きを読むread more
近藤成一『シリーズ日本中世史2 鎌倉幕府と朝廷』 これは8月24日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年3月に刊行されました。すでに第1巻はこのブログで取り上げています。本書は治承・寿永の乱から鎌倉幕府の滅亡までを扱っています。表題にあるように、鎌倉幕府と朝廷を中心にこの時代を解説しており、おもに政治史中心の叙述となっています。裁判に関す… トラックバック:2 コメント:0 2016年08月24日 続きを読むread more
五味文彦『シリーズ日本中世史1 中世社会の始まり』 これは8月19日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年1月に刊行されました。本書の冒頭にて構成の意図が説明されていますが、宗教も含めて文化史の割合が高いのが本書の特徴です。本書は、中世社会の前提となる古代社会についても1章を割いて叙述し、その後に、院政期からおおむね足利義満の頃までを、文化… トラックバック:3 コメント:0 2016年08月19日 続きを読むread more
呉座勇一編『南朝研究の最前線 ここまでわかった「建武政権」から後南朝まで』 これは7月24日分の記事として掲載しておきます。日本史史料研究会監修で、 歴史新書の一冊として洋泉社より2016年7月に刊行されました。本書は4部構成で、各部は複数の論考から構成されています。本書で提示された見解のなかには、すでに他の一般向け書籍で知ったものもありましたが、南北朝時代、とくに南朝については知識が乏しかったので、得るとこ… トラックバック:0 コメント:0 2016年07月24日 続きを読むread more
鍛代敏雄『戦国大名の正体 家中粛清と権威志向』 これは3月13日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2015年11月に刊行されました。副題にあるように、本書は戦国大名の特徴というか、戦国大名を形成・存立させる要素として家中粛清を重視しています。本書は戦国大名権力を、主従制的な支配と一揆的な原理により縦横に結ばれた、全体として統合された家中である、と… トラックバック:0 コメント:0 2016年03月13日 続きを読むread more
本多博之『天下統一とシルバーラッシュ 銀と戦国の流通革命』 これは3月101日分の記事として掲載しておきます。歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2015年7月に刊行されました。本書は銀の動向を軸に、戦国時代から豊臣・徳川統一政権までの政治・経済構造の変容を検証しています。表題から容易に推測できる人も多いでしょうが、本書は日本列島に限定せず、広く東アジアや東南アジア、さらにはそれら… トラックバック:0 コメント:0 2016年03月10日 続きを読むread more
久保健一郎『戦国大名の兵粮事情』 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2015年12月に刊行されました。本書は兵粮事情から戦国時代の経済・社会状況を検証しています。本書は兵粮をモノとカネの二つの側面で把握しています。もちろん、兵粮は食として消費されるわけですが、それだけではなく、カネのように運用されることもあるわけです。兵粮とはコメを指すことが多いようです… トラックバック:0 コメント:0 2016年03月03日 続きを読むread more
村井良介『戦国大名論 暴力と法と権力』 これは2月24日分の記事として掲載しておきます。講談社選書メチエの一冊として、講談社より2015年9月に刊行されました。本書の特徴の一つは、一般向け書籍としては珍しいくらい、研究史への直接的言及が多いことです。研究史の整理を直接読者に提示することにより、問題の所在を浮き彫りにする、という狙いがあるようです。また、フーコー(Michel… トラックバック:0 コメント:0 2016年02月24日 続きを読むread more
黒嶋敏 『天下統一 秀吉から家康へ』 講談社現代新書の一冊として、講談社より2015年11月に刊行されました。本書は、武威という視点からおもに「対外」関係を対象として豊臣秀吉と徳川家康の「天下統一」を検証しており、なかなか興味深く読み進められました。「対外」関係の点でも豊臣政権と徳川政権には連続性が認められ、それは武家政権たる両者が武威に基づき支配体制を構築してきたからだ… トラックバック:0 コメント:0 2016年02月17日 続きを読むread more
神田裕理編『ここまでわかった 戦国時代の天皇と公家衆たち 天皇制度は存亡の危機だったのか』 これは12月25日分の記事として掲載しておきます。日本史史料研究会監修で、 歴史新書の一冊として洋泉社より2015年12月に刊行されました。本書は4部構成で、各部は複数の論考から構成されています。本書で提示された見解のなかには、すでに他の一般向け書籍で知ったものもありましたが、戦国時代の朝廷については知識が乏しかったので、得るところが… トラックバック:0 コメント:0 2015年12月25日 続きを読むread more
丸島和洋『真田四代と信繁』 これは12月18日分の記事として掲載しておきます。平凡社新書の一冊として平凡社より2015年11月に刊行されました。著者は来年(2016年)の大河ドラマ『真田丸』の時代考証担当者の一人です。真田四代とは、幸綱・信綱・昌幸・信之(信幸)という戦国時代~江戸時代初期にかけての真田家の当主のことです。この四人と昌幸の次男である信繁とに1章ず… トラックバック:0 コメント:0 2015年12月18日 続きを読むread more